Tableauのコホート分析とは?具体的な作成手順や主な利用シーンを分かりやすく解説
目次
ユーザーの行動を時系列で可視化して長期的な傾向を分析することは、ビジネス改善に欠かせません。
その手法のひとつが「コホート分析」であり、Tableauを使えば複雑なデータも直感的に可視化できます。
コホート分析は、共通の属性やタイミングで分類されたユーザー群の動きを比較できるため、ユーザーの定着状況や施策の効果を把握するのに有効です。
この記事では、Tableau初心者の方でも実践できるよう、コホート分析の基本から作成手順、具体的な活用シーンまで丁寧に解説します。
ユーザー分析をより深く行いたい方にとって、本記事が効果的な第一歩となるでしょう。
コホート分析とは?
コホート分析とは、共通の時期や条件でグループ化されたユーザー(これを「コホート」と呼びます)の行動を追跡・分析する手法です。
例えば「初めて購入した月」が同じお客様グループごとに、その後の購入回数や継続利用状況を比較します。
全てのユーザーを一括りに分析するよりも、コホートごとに分けることでユーザーの定着率や離脱率などをより明確に把握できるのがメリットです。
実際、サービスや商品の改善では「最初の利用から○ヶ月後に何割のユーザーが残っているか」を知ることが重要で、コホート分析によってそれを簡単に可視化できます。
つまりコホート分析は、ユーザーを共通点でグループ化して各グループの長期的な行動パターンを比較することで、ビジネスの課題発見や施策効果の検証に役立つ重要な分析手法です。
Tableauでコホート分析を行う手順
それでは実際に、Tableauを使ってコホート分析を行う具体的な手順をご紹介します。
なお、今回はTableauに付属している「サンプルスーパーストア」を使用し、初回購入日からの経過月数別の顧客数を可視化していきます。
あらかじめ、Tableauにサンプルスーパーストアの「オーダー(注文)」シートを接続しておきましょう。
Tableauにデータを接続する方法がわからないという方は、以下の記事を参考にしてみてください。
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◆Tableauにおけるデータ接続と加工方法を手順付きで解説
【手順1】「初回購入日」の計算フィールドを作成する
顧客ごとの初回購入日を確認するためのフィールドを作成します。
以下のような計算フィールドを新しく作成しましょう。
★初回購入日
{FIXED [顧客 Id]:MIN([オーダー日])}
なお、FIXED関数などの「LOD計算」について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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◆Tableauでデータを深く掘り下げる:LOD計算の完全ガイド
【手順2】「経過月数」の計算フィールドを作成する
経過日数、すなわち「各オーダー日に対する初回購入日との差」を確認するための計算フィールドを作成します。
なお、今回は”日”ではなく”月”の粒度で確認したいため、以下のような計算フィールドを新しく作成しましょう。
★経過月数
DATEDIFF('month',[★初回購入日],[オーダー日])
また、Viz上では「経過1ヶ月」「経過2ヶ月」のように月数のパーツで表示させるため、メジャーにある[★経過月数]をディメンションの領域にドラッグ&ドロップします。
【手順3】コホート図を作成する
手順1,2で作成した計算フィールドをもとに、実際にコホート図を作成していきます。
以下の操作を順に行いましょう。
・[★経過月数]を列シェルフにドラッグ&ドロップする
・[★初回購入日]を右クリック(Macの場合は⌥)しながら行シェルフにドラッグ&ドロップし、「月/年」を選択する
・[顧客ID]を右クリック(Macの場合は⌥)しながらマークカードの「テキスト」にドラッグ&ドロップし、「個別のカウント」を選択する
・画面サイズを標準→ビュー全体 に変更する
【手順4】体裁を整える
最後に、コホート図の体裁を整えて完成です。
以下の操作を順に行いましょう。
・マークカードの「テキスト」にある[個別のカウント(顧客ID)]を、Ctrl(Macの場合は⌘)を押しながら「色」にドラッグ&ドロップする(フィールドの複製)
・グラフタイプを自動→四角 に変更する
【手順5】完成(インサイトの発見)
以上でコホート分析(コホート図)の完成です!
インサイトを発見しやすくするために、以下の操作を行いましょう。
・2回以上購入=リピート購入の実績に絞るために、[★経過月数]の「0」を選択して「除外」をクリックする
・ある程度データが多い年月で見るために、[★初回購入日]を2021年(2021年1月〜2021年12月)に絞る
作成したコホート図により、
- 「◯ヶ月後」といった特定の経過月数での購入傾向は見られない
- 初回購入日に関わらず、「11月」にリピート購入する顧客が多い
- 初回購入3年(36ヶ月)以上経過しても購入している顧客が多い(=ロイヤルクライアントが多そう)
といったインサイトが得られました。
Tableauにおけるコホート分析の主な利用シーン
コホート分析は様々な場面で役立ちますが、Tableauを活用して特によく行われる利用シーンを3つご紹介します。
① ユーザーの定着率や離脱率を把握したい時
新規ユーザーや新規顧客がどのくらい定着しているか、あるいはどのタイミングで離脱してしまうかを知りたい場合に、コホート分析が活躍します。
コホートごとに時間経過に伴うユーザー数の変化を追跡することで、例えば「1か月後にどれだけのユーザーが残っているか」や「半年後には何%が離脱したか」を明らかにできます。
これにより、サービス運用者はユーザーのライフサイクルを理解し、早期離脱が多ければオンボーディング施策の改善を検討するといった対策につなげられるでしょう。
② マーケティング施策やキャンペーンの効果を評価したい時
特定のマーケティング施策で獲得したユーザーの質を評価する際にも、コホート分析が有用です。
例えばキャンペーン期間中に新規獲得したユーザーを一つのコホートとし、その後の購入頻度や継続率を他の時期のコホートと比較します。もしキャンペーンで獲得した顧客のコホートが通常時に比べてリピート購入率が高ければ、施策は成功と言えます。
逆に初回購入のみで離脱してしまう割合が高ければ、一時的な効果止まりだったと判断できるでしょう。
③ ユーザーの行動パターンやニーズを把握したい時
ユーザーをコホートに分けて分析すると、行動パターンの違いやニーズの変化を読み取ることもできます。
例えば一年の中で特定の時期に獲得したユーザーは季節的なニーズで利用を始めた可能性があり、その後の利用動向も他の時期と異なるかもしれません。
コホート分析によって「どのコホートは購入サイクルが短いか」「どのコホートは長期間にわたり断続的に購入しているか」などを可視化すれば、ユーザーの嗜好や利用目的の違いを推測できます。
そしてそのインサイトをもとに、特定コホート向けのプロモーションやサービス改善案を検討することができるのです。
まとめ
コホート分析は、初心者でもTableauを使って基本的なステップを踏むことで実施できる強力な分析手法です。ポイントは、各ユーザーの初回購入日でコホートを定義し、時間経過に沿ってそのグループ内のユーザー数や指標の変化を追うことでした。
そのために本記事では、サンプルデータを用いて計算フィールド「初回購入日」や「経過月数」を作成し、ピボット形式のテーブルで可視化する具体的な手順を解説しました。
初めてコホート分析を行う方は、まずは本記事の手順通りにTableau上で操作してみてください。
実際に手を動かすことで、コホート分析の考え方と手法がより理解しやすくなるでしょう。
コホート分析によって得られたインサイトを活かし、ユーザー維持施策の立案やマーケティング戦略の改善など、データに基づいた意思決定につなげていただければ幸いです。
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