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歯科疾患実態調査とは?オープンデータの特徴や活用方法を解説

#オープンデータ #歯科疾患実態調査

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噛み合わせの悪さや歯周病、欠損といった歯の状態の悪さは、体全体のバランスを崩し、日常生活に支障をきたす程の疾患を引き起こしかねません。政府は80歳で20本の歯が残存していることを目標とした「8020運動」を1989年に掲げ、以降も継続して推進してきました。

「歯科疾患実態調査」は、設定した目標値を達成しているかどうかを評価するために、厚生労働省が5年おきに実施している調査です。令和4年度の調査結果によると、8020達成率は前回の調査結果から0.4%増加した51.6%でした。

この記事では、歯科疾患実態調査におけるオープンデータの特徴や活用方法を解説します。国民の歯の健康状態を把握し、サービスに活用したい方はぜひ参考にしてみてください。

歯科疾患実態調査とは?


国民の歯科保健状況を把握し、8020運動を始めとする歯科保健推進事業の効果を評価するため、又は歯科保健推進事業を推進する基礎資料を得るために厚生労働省が実施しているのが「歯科疾患実態調査」です。

昭和32年から6年ごとに行われてきた当調査は、平成24年の「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」によって平成28年の調査からは5年周期で実施されることが定められました。しかし、新型コロナウイルスの影響により、平成28年から6年空いた令和4年に直近の調査が実施されました。

歯科疾患実態調査の概要は、以下のとおりです。

調査対象 国民生活基礎調査で設定された地区から無作為に抽出した300地区内の世帯の満1歳以上の世帯員
調査日 11月~12月の各保健所が定める1日
調査周期 5年
調査方法 各会場で歯科医師が対象者の口腔を診査する
調査人数 約2,700人(調査年度によって差異あり)

 

各地区の口腔診査における歯の診査基準

調査対象地区内の会場で歯科医師によって行われる診査は、歯や補綴、歯肉などの腔内環境並びに顎関節に対して行われます。歯は状態によって現在歯と喪失歯に分かれ、さらに現在歯の中でも3種類に分類されます。歯の診査基準は、以下のとおりです。

大分類 小分類 基準
現在歯 健全歯 う蝕(虫歯)又は歯科的処置の認められないもの
未処置歯 「軽度う蝕」「重度う蝕」の何れかに該当する
・軽度う蝕
う窩、小窩裂溝、平滑面の病変
・重度う蝕
歯髄やそれ以上まで病変が進行しているもの
処置歯 歯の一部または全部に詰め物や被せ物で修復しているもの
    喪失歯 ・抜歯または脱落によって喪失した永久歯
・乳歯は含まない
・インプラントは喪失歯とする

 

歯科疾患実態調査に係るオープンデータの内容


集計された調査結果は「結果の概要」「報道発表資料(名称は報告年度によって異なる)」として厚生労働省のHPに公開されます。それぞれの特徴は次のとおりです。

  • 結果の概要
  • 集計結果がグラフや表形式でまとめられており、年次推移が分かる。

  • 報道発表資料
  • 「結果の概要」の要点がまとめられており、トピックが一目で把握できる。

結果の概要は、主に以下の8項目によって構成され、口内環境全般に関する国民の健康状態を把握できる内容となっています。歯科関係者が今後の展望を見据える上で、有益な情報と言えるでしょう。ただし、下記項目に含まれていない顎関節、咬合不正については、年度によって調査対象の有無が異なります。

調査項目 内容
歯の状態 ・う歯の保有者の数及び割合
・う歯の保有者の割合の年次推移
・一人当たりの平均う蝕歯数の年次推移
・一人当たりの平均DMF歯数の年次推移
・一人当たりの平均処置(充填、クラウン)歯数
・喪失歯の所有者率
・一人当たりの平均喪失歯数
・補綴物の装着の有無と装着者の割合
・20本以上の歯の所有者の数と割合
・20本以上の歯の所有者の割合の年次推移
・一人当たりの平均現在歯数
歯肉の状態 ・歯肉が出血している者の割合
・歯周ポケットを有する者の割合
・歯周ポケットを有する者の割合の年次推移
フッ化物の状態 ・フッ化物応用の経験有無
・フッ化物塗布の経験者の割合
歯をみがく頻度 歯ブラシの使用状況の年次推移
歯や口の状態 歯、歯茎、口の状態
歯や口の清掃状態 ・歯や口の清掃状況
・デンタルフロスや歯間ブラシを使う者の割合
・舌を清掃している者の割合
歯科検診の受診状況 歯科検診を受診している者の割合
矯正歯科治療の経験の有無 矯正歯科の経験の有無

 

歯科疾患実態調査のオープンデータの活用方法3選


日本国民の歯の健康状態を把握するのに最も有力な情報と言っても過言ではないのが、歯科疾患実態調査のオープンデータです。歯科医療に携わる関係者にとって、歯科疾患実態調査で得られた情報は、以下で示すような方法により自社サービスに活用できます。

う歯保有者に向けた歯間部清掃商品の販売

歯科疾患実態調査のオープンデータは、歯間部清掃の商品を販売するターゲット層を絞るのに活用できます。

令和4年度の調査結果によると、30代後半から80代にかけてう歯や歯周ポケットの保有者率が高くなりました。それに伴い、デンタルフロスや歯間ブラシといった歯間部清掃を行っている者の割合も高くなっています。

参考:令和4年歯科疾患実態調査「7. 歯や口の清掃状況」

歯ブラシだけでは清掃しきれない歯と歯の間にアプローチするデンタルフロスや歯間ブラシは、歯の健康寿命を延ばす上で欠かせません。歯間部清掃商品の需要が高まる年齢層では、唾液の量が減り、歯や歯茎が弱くなるのが特徴です。

需要の高い年齢層に焦点を絞った商品開発を行うことで、ユーザーの歯の悩みを解決できるでしょう。

補綴物の装着年齢に向けた集客サービスの提供

歯科医院で採用している主な補綴物は「ブリッジ」「入れ歯」「インプラント」です。歯科疾患実態調査では、それぞれの装着者の割合を年齢別に集計しています。装着率が高い年齢層は、該当の補綴物の需要が高いことを意味します。

補綴物の装着は費用や期間がかかるため、患者は慎重に歯科医院を選ぶでしょう。患者に歯科医院を選んでもらうためには、需要の高い年齢層に合わせた集客方法が必要です。

具体的には、各補綴物の装着率が高い年齢層に合わせた集客方法として、下記のようなサービスを歯科医院に提供できます。

年齢層 傾向 サービス内容
若年層 SNSの利用 補綴物の詳細や歯科医院の診療内容を発信するSNSの運用
中年層 インターネットの利用 補綴物装着に係るホームページの診療内容ページの充実
高年層 医療機関の相談窓口 医療機関の相談窓口での補綴物に関する説明資料の作成

 

企業向けの出張歯科検診の提供

歯科疾患実態調査のオープンデータを用いることで、歯科検診の実施率が低い年齢が分かります。令和4年度の調査結果によると、30歳~50歳において歯科検診の実施率が低い傾向にありました。一方で、う歯や歯周ポケットの保有者の割合は、30代後半を皮切りに急増する傾向にあるので、実施率の低い年齢層における歯科検診の重要性は明白です。

30歳~50歳といえば働き盛りなので、仕事が忙しくなかなか歯科検診に行けないという方は多いでしょう。歯の健康寿命は体全体の健康へと直結するため、社員に歯科検診を受けてもらうことは会社にとっても重要です。

そこで、出張歯科検診を企業に対して提案できます。出張であれば、社員も検診を受けやすく、日本全体の歯の健康寿命を延ばすことにも繋がります。

まとめ

歯科疾患実態調査は、歯科保健推進事業の効果を測定したり、基礎資料を得たりするために厚生労働省が5年おきに実施する調査です。日本国民の腔内の健康状態を多角的に把握できるので、今後の歯科医療に必要とされる課題を分析するのに活用できます。

80歳で20本以上の歯を保有する者がさらに増えるよう、歯科疾患実態調査におけるオープンデータをぜひ活用してみてください。

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