全国統一システムとは?全国のオープンデータを検索できる機能を解説
目次
「仕事終わりに急いで受診した病院よりも、さらに好条件の病院が受診後に見つかった」
「全国の病院の情報を一元管理している検索サイトがあれば…」
このようなお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
医療機関によって、診療日や診療時間、診療科等は異なります。自分に合った医療機関を探すためにホームページを比較しようにも、サイト設計が異なるため、欲しい情報を見つけるだけでも時間を要するでしょう。
全国統一システムは、令和6年4月から運用開始となる全国の医療機能情報や薬局機能情報を検索できるシステムです。都道府県をまたいだ検索が可能なので、旅行や出張の際にもスマートフォンひとつで簡単に、適切な医療機関(薬局を含む)を特定できます。
この記事では、全国統一システムとはどんなシステムなのかについて解説します。
全国統一システムで検索できる内容や運用するメリットも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
全国統一システムとは?全国の医療機関を検索する
全国統一的な検索サイト「全国統一システム」
全国統一システムとは、令和6年4月から運用開始となる、全国の医療機関(薬局を含む)を住民や患者が検索できるシステムのことです。令和6年3月までは都道府県ごとに検索システムが存在しています。
現行システムと全国統一システムの違いは、図のとおりです(※1)。
全国統一システムに移行されることで、住民・患者がインターネット上で見るべきサイトが一元化され、より効率的に適切な情報を得ることができるようになるでしょう。
※1 現行システムと全国統一システムの違い
医療機能情報提供制度の概要
全国統一システムの背景にある「医療機能情報提供制度」について解説します。医療機能情報提供制度は、住民・患者による適切な病院等の選択を支援することを目的として、平成19年に施行されました。制度によって義務付けられた内容は次の2点です。
- 病院等の医療機関は、医療機能情報(※)を都道府県に報告する
- 各都道府県は、住民・患者に対して分かりやすい形で情報を提供する
※診療科目、診療日、診療時間、病床数、保有設備、対応可能な疾患・治療内容等
制度の開始に伴い、検索機能を有する各都道府県のシステムによりインターネットを通じて情報が公開されてきました。しかし、システムを利用する患者の立場からすると、次のような課題がありました。
- スマートフォンや各言語への対応など公表方法に各都道府県で差がある
- 県境にお住まいの患者は複数の検索サイトを閲覧しなくてはならない
上記のような課題を解決するために、立案されたのが「全国統一システム」です。全国統一システムでは、各都道府県にあった検索サイトを一元化するだけでなく、多言語対応やGPS機能などを付加することで、利便性の向上を目指しています。
G-MIS(医療機関等情報支援システム)の運用
全国統一システムの導入によって一元化されるのは、患者側の検索部分だけではありません。医療機能情報提供制度では、病院等の医療機関は、各都道府県に設定された医療機関情報システムに対し、医療情報を定期報告します。全国統一システムに移行することにより、定期報告も現行システムから「G-MIS(医療機関等情報支援システム)」に移行します。
元々は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医療機関の状況を見える化するために開発されたのがG-MISでした。G-MISでできる主な機能は次のとおりです。
- 定期報告データの登録
- 医療機関の空床状況、患者受入状況をの確認する
- 自身の医療機関マスタの情報をの確認する
これまで医療機関の状況を把握するために利用していたG-MISで定期報告ができるようになることで、医療機関・薬局の管理工数を削減できます。
全国統一システムから検索できる医療機能情報
令和6年4月から運用を開始する全国統一システムにて、住民・患者が検索できる情報として、次の項目が予想されます(※2)。省令・告示で定められた項目以外にも、都道府県独自の項目を設けることで、各地域の独自性を活かした情報提供が可能になります。
項目名 |
病院/診療所/助産所 |
薬局 |
内容 |
医療機関名 | ◯ | ◯ | 医療機関の名称 |
住所 | ◯ | ◯ | ・医療機関の住所 ・Googleマップのリンクあり |
アクセス | ◯ | 最寄り駅から医療機関までの経路 | |
電話番号 | ◯ | ◯ | 医療機関の電話番号 |
診療科目 | ◯ | 医療機関の診療科目 | |
外来特記事項 | ◯ | 外来患者に医療機関が伝えたい事項 | |
施設情報 | ◯ | ◯ | 駐車場、車椅子配慮、カード利用、外国語対応等の有無 |
(都道府県独自項目) | ◯ | ◯ | 省令・告示で定められた公表項目とは別に、各都道府県が設定している独自項目 |
※2 東京都医療機関・薬局案内サービス
全国統一システムの5つのメリット
現行の各都道府県の検索システムから全国統一システムに移行することによって、住民・患者のみならず、医療機関や薬局及び各自治体にもメリットがあります。主なメリットは次のとおりです。
報告システムの統一化
全国の医療機関がG-MIS(医療機関等情報支援システム)を通じて、定期報告が行えるようになることで、次のようなメリットがあります。
※【】:メリットを享受する機関や人
- 【都道府県】医療機関情報システムの管理・運用コストがなくなる
- 【医療機関】定期報告と併せて医療機関の状況確認が可能になる
都道府県、医療機関の管理コストが削減されることによって、他の業務に充てられる時間が増えます。結果として、国民の健康維持・推進へと寄与することになるでしょう。
疾患・治療の実績件数を初期表示
G-MISにおいて、昨年度の疾患・治療に関する実績件数は、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)から抽出したデータを基に集計した件数が初期表示されるようになります。そのため、医療機関の定期報告にかかる負担を軽減することが可能です。
都道府県をまたいだ検索が可能
全国統一システムの最も大きなメリットと言えるのが、住民・患者が1回の検索操作
によって都道府県をまたいだ横断的な検索が可能になることです。県境に住む方や、出張、帰省、旅行などで居住地以外の都道府県を訪れた場合にも、一元化された情報サイトから検索できます。
47個に分散していた検索サイトが1つに統合されることで、テレビや雑誌などのメディアでも告知がしやすく、国民に浸透する確率が高まることが期待されます。
スマホからの検索が可能
現行のシステムは各都道府県で管理・運用しているため、都道府県によってはスマートフォンからの検索ができませんでした。しかし、全国統一システムはスマートフォンからの検索が可能となり、利便性の向上が期待できます。若者世代への普及も見込まれます。
特に、外出時に最適な医療機関の選定が必要になる場面においては、スマートフォンから検索できるかどうかは重要です。自身の症状や居住地に適していない医療機関を受診してしまうと、次のようなデメリットが生じます。
- セカンドオピニオンを受診するための費用、時間が余計にかかる
- 適切な治療を受けられないことで、重大な事態に陥る危険がある
- 居住地から遠い医療機関の場合、再診時に余計な時間と費用がかかる
多言語翻訳機能の拡充
全国統一システムは、多言語翻訳(英語、中国語、韓国語)に対応することで、外国の方も安心して利用できます。さらに次のような機能も実装される予定です。
- 文字サイズ変更
- 音声読み上げ
- GPSを利用したキーワード検索
- 用語解説
まとめ|適切な医療機関の選択選定を可能にする全国統一システム
令和6年4月から運用開始となる全国統一システムは、1つのサイトで全国の医療機関を検索できます。さらに、多言対応やGPSを利用した検索も搭載されることにより、住民・患者は、より効率的に最適な医療機関を選定できるようになるでしょう。
この記事で紹介した全国統一システムの全容を把握し、ぜひ活用してみてください。
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