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無医地区等調査とは?オープンデータの特徴や活用方法を解説

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団塊の世代が後期高齢者となる2025年には、医療の需要が高まることが予想される一方で、医療機関のない地域である「無医地区」は現在も存在しています。そのようなへき地医療の実態を捉えるべく、厚生労働省が実施しているのが「無医地区等調査」です。

この記事では、無医地区等調査のオープンデータの特徴や活用方法について解説します。へき地医療が抱える課題を理解した上で、オープンデータをどうサービスに活用できるかが知りたい方は、参考にしてみてください。

無医地区等調査とは?

厚生労働省が実施する無医地区等調査は、へき地医療について考えるために設けられています。無医地区等調査の概要やへき地医療が抱える課題について、詳しく見ていきましょう。

無医地区等調査の概要

無医地区等調査は、全国の無医地区の実態と医療確保状況の実態を把握し、へき地保健医療体制を確立するために3年周期で厚生労働省が実施しています。無医地区等調査の対象となるのは、「無医地区」「無医地区に準じる地区」を有する市区町村です 。

無医地区

無医地区に準じる地区

・医療機関のない地域
・当該地区の中心的な場所を起点として、半径4㎞の区域内に50人以上が居住している地区
・容易に医療機関を利用することができない地区
・無医地区には該当しない
・各都道府県知事が判断した無医地区に準じた医療の確保が必要な地区

 

覚えておきたい「へき地医療」に関する用語

へき地医療に関する基礎資料を得るために実施される無医地区等調査の全容を理解するためには、へき地医療を取り巻く用語について知る必要があります。へき地医療に関する主な用語は次のとおりです。

用語

意味

へき地

以下の条件を満たす地域
・交通条件や自然的、経済的、社会的条件に恵まれない
・山間地、離島その他の地域
・医療の確保が困難
・無医地区または無医地区に準じる地区

無歯科医地区

歯科医療機関*について無医地区と同等

※歯科医療機関とは、歯科(小児歯科、矯正歯科または歯科口腔外科)を標榜する病院および歯科診療所

へき地医療拠点病院

へき地医療支援機構の指導・調整の下、へき地で医療を提供する病院

 

へき地医療が抱える2つの課題

へき地医療には「少子高齢化」と「医師の地域偏在」という2つの課題があります。へき地において、住民が安心して保健医療を受けるためには、これらの課題解決が急務です。

少子高齢化

深刻な社会問題となっている日本の少子高齢化は、団塊の世代が全員75歳以上になる2025年にピークを迎えると言われています。来る2025年に備えて、都道府県は「地域医療構想」を策定し、各地域の医療需要に合わせた医療体制の確保を推進しています。

へき地においても、医療従事者の減少と共に医療需要のひっ迫が予想されており、無医地区等調査は対策を講じるための実態把握に用いられているのです。

医師の地域偏在

医師や看護師などの医療従事者の多くが都市部に集中していることも、へき地医療の課題の一つです。少子化により若者世代の医療従事者が減少傾向にある上に、医師の地域偏在が進むことで、へき地の医療は滞ってしまいます。

また、2004年からは、医師は研修を受ける医療機関を選べるようになりました。それによって、地域に派遣される医師が減り、地域偏在に拍車をかけています。

無医地区等調査のオープンデータの内容

無医地区等調査で調査される項目は、全国の無医地区の数や、無医地区等が増加・減少した理由に至るまで多岐に渡ります。無医地区等調査のオープンデータの主な内容は次のとおりです。

  • 都道府県・人口規模別の無医地区等数
  • 二次医療圏別の無医地区等数
  • 市町村別の無医地区等数
  • 所轄保健所別の無医地区等数
  • 年齢階級・男女別の無医地区等の人口
  • 無医地区等における患者輸送の実施状況
  • 無医地区等における巡回診療の実施状況
  • 無医地区等の増加・減少理由

令和4年度の調査結果から見る無医地区の現状

無医地区等調査は令和元年度からは3年周期 で実施されており、今回は令和4年度の調査結果を過去年度と比較して紹介します。厚生労働省が「へき地保健医療計画」として医療体制の整備に取り組んできた成果が、調査結果に反映されているのかにも着目してみてください。

無医地区数は減少傾向にある

無医地区数は令和元年の調査と比較して、33地区が減少し、557地区となりました。昭和59年度には1,276地区あった無医地区も年々減少傾向にあります。


※参考1:令和4年度無医地区等及び無歯科医地区等調査

無医地区数が増加している地域も存在する

日本全体で見ると減少傾向にある無医地区ですが、福島県や奈良県、鹿児島県などの一部地域では無医地区数の増加が見られました。特に山間部や離島が多い地域では、一人の医師が地域の医療を守っているという状況も少なくありません。

当該医師が引退してしまうと無医地区になり、適切な医療が受けられない地域が生まれてしまうのです。そのため、無医地区数の減少に安心することなく、無医地区の予備軍となっている地域にも医師の増員を行うなどの対策が必要になるでしょう。

医地区等調査におけるオープンデータの活用方法3選

厚生労働省のホームページで公開されている無医地区等調査のオープンデータは、医療の需要と供給を把握するのに役立ちます。無医地区等調査のオープンデータの主な活用方法は、次の3つです。

医療需要の高い無医地区の市町村を抜粋した営業リスト作成

以下の条件に該当する市町村を抜粋することで、適切な医療が受けられない方々に向けた営業リストを作成できます。

  • 医療需要が高まる65歳以上の人口が多い
  • へき地医療拠点病院の巡回診療が行き届いていない
  • 無医地区数が多い

営業する商品は、医療需要の高まりとともに必要となる下記の商品が考えられるでしょう。

  • 検査キット
  • 市販薬
  • 見守りカメラ

医療機関に気軽に行けない地域にお住まいの方々は、主要な感染症対策として検査キットを常備していると便利です。また、症状に合わせた家庭常備薬があると、すぐに医師による治療が受けられない状況でも、ご自宅で応急措置が行なえます。見守りカメラを設置することで、無医地区にお住まいの方の緊急事態をいち早く察知し、遠方からでも救急車の手配が可能です。

開業医・研修医に向けた無医地区紹介サイト運営

無医地区を減らすためには、医療機関を設立する必要があります。そのため、開業を検討している医師に向けて、開業先として無医地区を紹介するサイトを運営することで、無医地区の減少に貢献できます。

また、無医地区の隣接地区には、無医地区の予備軍となるような医師不足の医療機関が存在する可能性が高いです。地方厚生局が提供するコード内容別医療機関一覧表の勤務医数も確認することで、無医地区周辺の医師不足の医療機関を特定できます。研修医に向けて該当医療機関を紹介するサイトを運営することで、無医地区の増加を抑えることができるでしょう。

健康診断の受診者が少ない地域に向けた健診プランの提案

無医地区等調査では、健康診断の実施状況も調査しています。健康診断の受診者数が少ない無医地区を特定することで、健康診断の受診プランを住民の方々に提案できます。

健康診断を定期的に受け、健康状態を維持することで、緊急度の高い受診機会を避けることが可能です。提案する健康診断の受診プランには、医療機関に向かうための交通手段のチケットを付けることで、住民の方も利用しやすくなるでしょう。

まとめ|無医地区等調査はへき地医療を救う鍵になる

無医地区等調査は、へき地医療体制を充実させるための実態把握に寄与します。年々減少傾向にある無医地区ですが、今後の医療需要の高まりや増加している無医地区の存在などから、無医地区への医療体制の拡充は急務です。

無医地区等調査のオープンデータを活用することで、医療需要の高い地域や開業医・研修医に向けたサービス提供を検討してみてください。

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