人口動態調査とは オープンデータの特徴や活用方法を解説
今回は人口動態調査を活用したオープンデータの特徴や活用方法について、解説します。
人口動態調査とは
人口動態調査とは、各自治体から厚生労働省に届けられた人口動態に関する書類を元に、厚生労働省の行政施策のための基礎資料を得ることを目的として調査されるものです。
人口動態調査の概要について
人口動態調査の詳細は以下の通りです。
人口動態調査の詳細について
人口動態総覧について
以下の項目ごとに、それぞれの人数を記載しています。
主な死因による死亡の平均発生間隔
以下の項目ごとに、それぞれ平均発生間隔時間を記載しています。
年次別人口動態(実数・率)
以下の項目に沿って、昭和から現在までのデータを年数ごとに、実数と率ベースで記載しています。
人口動態総覧、保健所、市町別
男女別に以下の項目ごとに市町、保健所別で人数を記載しています。
死亡数、性・年齢(5歳階級)・死因(簡単分類)別
死因別に、0歳から100歳以上の年齢ごとで実数を記載しています。男女ごとでもデータを割り出しています。
主な死因別死亡数・死亡率
以下の死因ごとに昭和から現在までのデータ(死亡数・死亡率)を年数ごとに記載しています。
主な生活習慣病による死亡数・死亡率
以下の死因ごとに昭和から現在までのデータ(死亡数・死亡率・全死因に対する割合)を年数ごとに記載しています。
悪性新生物の主な部位別死亡数・死亡率
以下の死因ごとに昭和から現在までのデータ(死亡数・死亡率)を年数ごとに記載しています。
人口動態調査の活用方法
地域ごとの医療機関において専門領域に特化した診療科を新設する
人口動態調査では、各地域ごとにおける死因の内容が網羅されています。特に生活習慣病や死因率の高い悪性新生物による死因の情報は非常に有益です。
これらの情報を元に、医療機関における専門領域に特化した診療科を新設することが考えられます。
例えば、A地域の主な死因が心疾患であれば、循環器科に特化した医療機関を新設するといった具合です。
地域ごとで死因の内容は様々です。なぜなら地域によって環境や文化、風土が異なるからです。であれば、地域ごとの特性を分析し、それに応じた専門領域を生み出すこと。これが医療に貢献できる第一歩につながるのです。
死産数の多い地域に産婦人科領域の医療部門を新設する
今日、不妊治療に悩む現代人が多く存在しています。その中でも死産を経験する方が少なくありません。死産数が多い地域に対し、産婦人科領域のクリニック・病院を新設することで、不妊治療に悩む女性を救えるはずです。保険適応が採用された不妊治療ではありますが、まだまだ多くの悩みを抱えた方は多く存在します。不妊治療に悩む方を1人でも救える体制が築けるよう、国全体が一丸となって対策していくことが求められます。
乳房・子宮の病に苦しむ地域に婦人科領域の医療部門を新設する
乳がんや子宮がんといった悪性新生物による病を患う方が一定数います。特に地方の田舎にはそういった特定部位領域の専門機関が少ないと言われています。
そういった地域に対し、医療施設を拡充させることによって、1人でも多くの患者を救える体制が築けるのです。
婚姻件数の少ない地域に出会いの場を提供する
年々結婚率が減少していると言われる日本において、地方に住む人々の結婚率が著しく減少していると言われています。
その最たる原因の1つと言われているのが「出会いの場が無い」ということです。
対策としては、地域ごとで婚活パーティーの開催や積極的なマッチングアプリの広告を打ち出すなどといった対策が考えられます。
コロナ禍でますます人との結びつきが感じられなくなったと嘆いている人々も多数います。そんな人々を救うべく、国が現代人の出会いの場所を積極的に提供する体制を作るべきでしょう。そして、出会いを求める人々も積極的に出会いツールや出会いの場所を利用するスタンスが求められるでしょう。
離婚件数の多い地域に離婚相談所を提供する
日本では、年々結婚率が減少している一方で、地域によっては離婚率も拡大している場所があります。夫婦間で「価値観が合わない」であったり「すれ違いが多くなり、以前より相手の魅力が感じられなくなった」といった声が生まれ、結果的に離婚という選択肢を選んでしまう人々が多くいるのです。
そんな人々は常に悩みを抱えています。「どうすれば相手と上手く離婚できるだろうか」であったり「親権を得たいが、どうやったら揉めずに親権が得られるだろうか」といったことを常に悩んでいるのです。そういった悩みに苦しむ人々が救済される場所を、政府が提供していくべきです。離婚相談所を設立し、離婚後の人生も豊かに暮らせる人々が1人でも多くなる社会作りを目指すことが今後求められるでしょう。
まとめ
人口動態調査のオープンデータは、厚生労働省により公開されている信憑性の高いデータです。
このオープンデータを活用することで、各地域が抱えている課題を解決する糸口が見つかるでしょう。
オープンデータを活用し、悪性新生物による疾患が多い地域を割り出すことができます。その地域をメインに、課題となる疾患治療に特化した専門クリニック・病院を設立することができるのです。
また、オープンデータを活用することによって、不妊治療や婚活といった現代人が悩みがちなライフスタイルに関する課題を解決するための糸口もきっと見つかるでしょう。
特に地方では医療機関の整備が行き届いていないケースが往々にしてあります。
そんな地域が必要な医療、必要な各種相談所の提供を受けることができれば、多くの人々のライフスタイルが充実したものになるでしょう。
人口動態調査のオープンデータは無料ですので、誰でも手に入れることのできるデータです。
この無料のデータが多くの人々に認知され、有効活用できる人々が1人でも増えることで、効率的な行政施策が展開できます。
まだまだコロナの終息が見えない現在において、1人1人が正しい情報を収集し、行動していくことが非常に重要です。
たとえ、いち市民とは言え1人の声は、国にとってかけがえのないものになり得ます。誰でも簡単に手に入れることができるオープンデータを積極的に活用し、情報リテラシーを高めていくことは極めて有益と言えるでしょう。
また情報リテラシーを高め、1人1人が外部に情報発信すること。多くの人々が正しい情報を収集し、正しい知識を発信していくこと。この体制を社会全体で築いていくことが現代の日本に求められているのです。
投稿者プロフィール

- 医療業界に特化した営業支援、顧客管理(SFA/CRM)のコンサルティングを提供するフロッグウェル株式会社のシニアコンサルタント。オープンデータに詳しく、弊社提供の病院マスタ等の作成に携わる。ほかにもデータ活用サポート、CRM Analyticsの導入など、多岐にわたるサポートを経験。
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