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人口動態調査とは オープンデータの特徴や活用方法を解説

#オープンデータ #人口動態調査

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日々、出産や死亡によって人口は増減していますが、一定期間における人口の変動を把握することで、日本の抱える課題が見えてきます。

そこで、施策策定のために厚生労働省が毎年行っているのが、人口動態調査です。人口動態調査では出生、死亡、婚姻、離婚、死産に関する全数を集計しています。人口動態調査の結果はオープンデータとして一般公開されているため、どなたでも活用可能です。

今回は、企業担当者に向けて人口動態調査のオープンデータの特徴や活用方法について解説します。

人口動態調査とは

人口動態調査とは、我が国の人口動態事象把握、行政施策の基礎資料取得を目的として、厚生労働省が実施する調査です。

市区町村に届出のあった出生、死亡、婚姻、離婚及び死産の全数を対象としています。

調査内容を元に作成した統計資料が、オープンデータとして公開されています。

人口動態調査に関するオープンデータの内容

人口動態調査のオープンデータは、次の3つの資料に分類されます。統計によって集計客体や公表時期が異なるので、それぞれの特徴を把握した上で活用しましょう。

速報

月報

年報

数値

調査票を作成した数 概数 概数に修正を加えた確定数

集計客体

日本にいる日本人と外国人、外国にいる日本人 日本における日本人 日本における日本人

公表時期

毎月
→調査月の約2ヶ月後
毎月
→調査月の約5ヶ月後毎年(年間合計)
→調査年の翌年6月
毎年
→調査年の翌年9月

 

人口動態調査で集計されるオープンデータのうち、確定数として最後に公表される「年報」の内容について「令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況」を元に解説します。以下のようなデータ群(※)と併せて「結果の概要」として、出生、死亡、自然増減、死産、婚姻、離婚の数と比率が示されているのが特徴です。

※各データのタイトルを要約して、見出しにしています。

人口動態総覧

出生・死亡・自然増減・死産・婚姻・離婚に関する人口動態の実数と比率が、表形式でまとめられています。前年度の実数や増減数(率)も示されているので、各項目の実数がどの程度増減したのか、1つの表だけで一括して確認できます。

人口動態総覧の年次推移

出生数、死亡数、自然増減数、死産数、周産期死亡数、婚姻件数、離婚件数の1947年からの年次推移の把握が可能です。また、人口動態総覧の年次推移で示される死亡数、死産数には、以下のような内訳があります。

大分類

小分類

定義

死亡数 乳児死亡数 生後1年未満で死亡した者の数
新生児死亡数 生後4週(28日)未満で死亡した者の数
周産期死亡数 妊娠満22週以後の死産数に早期新生児死亡数(生後1週(7日)未満で死亡した者の数)を加えた数
死産数 自然死産数 ・妊娠満12週(妊娠第4月)以後の死児の出産数
・人工死産数以外
人工死産数 胎児が母体内で生存しているときに、人工的処置を加えたことにより死産に至った数

 

人口動態総覧(率)の年次推移

出生率、死亡率、乳児死亡率、新生児死亡率、自然死亡率、自然増減率、死産率、周産期死亡率、婚姻率、離婚率、合計特殊出生率、年齢調整死亡率の1947年からの年次推移が集計されています。

合計特殊出生率とは、15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計した値を指し、一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むと仮定した場合の子どもの数のことです。

都道府県別の人口動態総覧

都道府県及び指定都市別の出生数、死亡数、自然増減数、死産数、婚姻件数、離婚件数が集計されています。人口動態の項目ごとに多い、または少ない都道府県の確認が可能です。また、出生数、死亡数は性別ごとに実数を把握できます。

都道府県別の人口動態総覧(率)

都道府県及び指定都市別の出生率、死亡率、乳児死亡率、新生児死亡率、自然増減率、死産率、周産期死亡率、妊娠満22週以後の死産率、早期新生児死亡率、婚姻率、離婚率、合計特殊出生率が集計されています。

母の年齢・出生順位別にみた出生数

5歳階級の母の年齢別・出生順位(第一子、第二子、第三子以上)別の出生数を過去9年分、それぞれ比較しています。直近2年分については、母の年齢・出生順位別の更に詳細な出生数の比較が可能です。

母の年齢・出生順位別にみた合計特殊出生率(内訳)

5歳階級の母の年齢別・出生順位(第一子、第二子、第三子以上)別の合計特殊出生率を過去9年分、それぞれ比較しています。直近2年分については、母の年齢・出生順位別の更に詳細な合計特殊出生率の比較が可能です。

性別にみた死因順位別死亡数・死亡率・構成割合

第10位までの死因順位別の死亡数、死亡率、死亡総数に占める割合を直近2年分、男女ごとに比較しています。また、参考として熱中症、自殺、コロナウイルスの死亡数、死亡率、死亡総数に占める割合も集計されています。

死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率

WHOの死亡製表用リストを参考にして厚生労働省が作成した分類表が「死因簡単分類表」です。死因簡単分類別の死亡数・死亡率を直近2年分比較しています。分類項目には、以下の2つの死因が含まれているのが特徴です。

  • 死亡数が一定数以上認められるもの
  • 死亡数は少ないが、国民や研究者にとって関心の高いもの

日本・外国における日本人及び外国人の人口動態

日本にいる外国人の出生数、死亡数、乳児死亡数、死産数、婚姻件数、離婚件数が国籍ごとに集計されています。反対に、外国にいる日本人の出生数、死亡数、婚姻件数、離婚件数もまとめられています。

諸率の算出に用いた人口

人口動態調査の諸率を算出するのに用いられているのは、総務省統計局が公開している人口推計です。都道府県・男女別の人口や5歳階級・男女別人口、指定都市・男女別人口などの諸率の算出に用いた統計表がまとめられています。

人口動態調査のオープンデータの活用方法

人口動態調査のオープンデータは、人口推計(総務省)、生命表(厚生労働省)などの統計や施策に活用されるほか、民間企業や研究機関でも広く利用されています。
医療に関する活用方法を例に挙げます。

死亡数の多い専門領域に特化した診療科を新設する

人口動態調査では、死因別の死亡数が男女別に集計されています。特に万人に関係する生活習慣病や死亡数の多い悪性新生物に関する情報は非常に有益です。
これらの情報を元に、死亡数に直結する専門領域に特化した診療科を新設することが考えられます。

例えば、死亡数が多い主な死因が心疾患であれば、循環器科に特化した医療機関を新設することで、患者の需要を満たせるだけでなく、日本の死亡数の減少にも寄与できるでしょう。

死産数の多い地域に産婦人科領域の医療部門を新設する

今日、不妊治療に悩む現代人が多く存在しています。その中でも死産を経験する方が少なくありません。死産数が多い地域に対し、産婦人科領域のクリニック・病院を新設することで、不妊治療に悩む女性を救えるはずです。保険適応が採用された不妊治療ではありますが、まだまだ多くの悩みを抱えた方は多く存在します。不妊治療に悩む方を1人でも救える体制が築けるよう、国全体が一丸となって対策していくことが求められます。

まとめ

人口動態調査のオープンデータは、厚生労働省により無料で公開されている信憑性の高い統計資料です。
このオープンデータを活用することで、全国的に死亡数が多い死因に直結する専門分野や各地域が必要としている専門分野が見つかるでしょう。

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