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救急救助の現況とは?オープンデータの特徴や活用方法を解説

#オープンデータ #救急救助

救急救助とは、交通事故や災害に遭った人や心筋梗塞などの急病人を救い、医療機関に搬送することです。
患者の命を救うために、現場ではさまざまな医療機器を必要としています。効率よく自社の機器を販売するためには、まず救急救助の現況を知っておく必要があるでしょう。そのためにもオープンデータの活用は欠かせません。

総務省は、消防機関や各都道府県が行う救急業務、救助業務、消防活動に関する実施状況を整理したデータを毎年公表しています。

そこで、今回は救急救助の現況とオープンデータの特徴や活用方法を紹介します。救急救助の現状によって洗い出された課題も解説しているので、課題解決のための糸口としてデータの活用方法を検討してみてください。

救急救助の現況

救急医療に関するオープンデータである「救急救助の現状」は、総務省消防庁から公開され、毎年更新されます。これらのデータを見ると救急救助の現況が把握可能です。

このオープンデータは、各都道府県および消防本部が地域の救急、救助、航空に関連する様々な課題についての検討を進める際に重要な基礎資料として活用できます。

当オープンデータから見えた近年の救急救助の現状は次の通りです。

救急出動件数は増加傾向

令和2年に発生した救急出動件数は、593万5694件、搬送人数は529万5727人でした。これは平成20年以来、12年ぶりに減少(前年比約10%減)しています。
救急自動車の保有台数は6579台であり、前年比で2.1%増加しています。

救急出動件数が前年度より減少した要因は、新型コロナウイルスの感染拡大で外出を自粛し、転倒などによる外傷が減少しているからです。また手洗い、マスクの装着による他者との接触が減少したため、感染症(ウイルス性腸炎、季節性インフルエンザ)患者数の減少にも繋がりました。

高齢者の救急救助が増加傾向

令和元年の救急自動車による搬送人員のうち、高齢者は約60%であり、平成11年と比較して約23%も増加しています。これは日本の高齢化率が28.7%と年々上昇しており、高齢者の搬送人員も増加傾向になっているからです。

病院収容までの所要時間の増加

救急自動車による現場到着時間は、全国平均で約8.9分であり、前年比で0.2分増です。また病院収容にかかる時間は、40.6分であり、前年比で1.1分増となり、こちらも年々増加しています。

救急隊が行う応急処置や特定行為件数の増加

救急隊が行う応急処置は、平成3年8月の「救急隊員の行う応急処置等の基準」の改正により拡大されています。

令和2年における処置件数は、1471万2934件でした。このうち気管内挿管、除細動、薬剤投与などの特定行為を行った件数は、24万3618件と前年比で約0.8%増加傾向です。

救急救助の課題


救急救助の現況と課題について、平成30年7月に行われた「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会における議論の整理」にまとめられています。

これまで、一次・二次・三次救急医療機関の整備が行われてきましたが、高齢化にともなう社会情勢の変化に十分対応できる仕組みに変更できていないという課題が浮き彫りになりました。今後さらなる高齢化や救急搬送件数の増加が予測されます。

そのため、高品質で効率的な救急医療体制を構築するためには、救急医療機関の機能分化と連携が急務なのです。

一次・二次・三次救急とは

病院は救急指定病院により、一次・二次・三次救急と役割を担います。救急指定病院は「救急病院等を定める省令」により指定されます。

一次救急とは入院の必要がなく、外来通院可能な軽症患者を受け入れる救急医療です。患者は自分自身で、または家族に付き添ってもらい通院する必要があります。

二次救急とは手術などの外科治療や、長期的な投薬治療など、入院治療が必要な患者を受け入れる救急医療です。救急医療に従事する医師が常駐し、救急患者が使用する専用病床が整備されています。

三次救急とは二次救急でも対応困難な重篤患者や、特殊な疾患の患者を受け入れる救急医療です。二次救急と同様の設備がありますが、高度救命センターを設置しています。

ドクターヘリで搬送された患者に対応するため、屋上にヘリポートが設置されているのが特徴です。医療機関の中で最も高度な医療を提供しています。

医師の働き方改革

救急医療に携わる医師は、長時間勤務する割合が多いことも問題です。特に年間の救急搬送受け入れ件数が2000件を超える医療機関では、週60時間以上勤務する割合が大きくなります。働き方改革は近年言われており、救急医療に関わる医師にも適応されるため、早急な改善が必要です。

メディカルコントロール体制の充実

メディカルコントロール体制とは、消防機関と医療機関が連携することです。現場に到着した救急隊が、いつでも医師に相談、指示、指導を要請できます。実施した救急活動から、処置の適切性について事後検証後再教育に活用し、救急隊の教育に利用します。

これらの体制は、救急隊による初期対応の質向上につながりますが、指示要請するタイミングや、指示の適切さについての問題が発生しました。

オープンデータの特徴

救急救助のオープンデータは、「救急編」、「救助編」、「航空編」の3編です。また別表に各都道府県の救急救助の状況や、疾患別の搬送状況を細かくまとめています。
またオープンデータは、誰でも見ることができるため、課題解決などの二次利用ができるのが特徴です。

①救急編

救急業務体制の状況、都道府県別救急搬送件数、人数、疾患、緊急車両の現場到着時間、救急隊が行った処置などが詳しく記載されています。
患者が救急要請し、緊急車両が現場に到着してから病院までの状況が分かります。

②救助編

救急救助活動の状況、救急隊の設置状況、救急器具の保有状況が詳しく記載されています。
患者を病院に搬送するまでの、救急隊の活動状況が分かります。

③航空編

都道府県別ヘリコプターの保有状況、ヘリコプターの活動状況が詳しく記載されています。
救急車以外にドクターヘリがあり、一刻を争う病状の急変や、重大な交通事故などに対応が可能です。
病院によって、ドクターヘリを保有しているところもあり、特殊な医療機器を必要とすることもあります。

救急救助の現況におけるオープンデータの活用方法


救急救助の現況におけるオープンデータは、地域の課題に合わせた機器販売戦略の策定や年齢別救急医療ニーズの把握などに活用できます。

地域ごとの課題に焦点を当てた機器販売

人口が集中する大都市圏や郊外の地域では、搬送件数が大きく異なります。消防署の設置件数や救急隊の人数が異なると、現場到着時間や病院収容に影響します。

自動車保有率の高い地域や、交通事故による外傷件数の多い地域は、救急患者を救出する機械が必要となるでしょう。また大雨や大雪などの自然災害が多い地域では、安全に現場に到着することが優先されます。つまり地域ごとに抱える問題や課題があり、異なることがあるのです。

オープンデータを分析することで、その地域が抱える問題や課題を明確化できます。そしてその課題を元に、解決可能な医療機器を病院に紹介する事で、効率よく自社の機器を販売できるのです。

各都道府県ごとの年齢別救急医療ニーズの把握

オープンデータにおける「都道府県別年齢区分別搬送人員構成比」と「救急自動車による都道府県別事故種別救急出動件数」を見ることで、救急搬送が多い都道府県において、どの年齢層の搬送数が最も多いのかが把握できます。

救急搬送が多いということは、救急医療のニーズが高いということです。したがって、該当の都道府県においては、搬送率の高い年齢層に焦点を当てた救急医療体制を充実させる必要があります。

この分析によって分かる救急医療ニーズは、地域医療構想の施策策定に役立つほか、救急医療機能を持った医療機関の開設先の選定にも役立つでしょう。

まとめ

救急救助のオープンデータは、救急業務に関するデータを都道府県別に公表しています。また救急隊が行った特定行為や、病院到着時間まで細かく公表されており、二次利用が出来るのが特徴です。

オープンデータをうまく活用し、救命に必要な機器の販売や、救急医療ニーズの把握に役立てましょう。

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