Microsoft Fabricとは Power BIとの違いやできることを初心者にも分かりやすく解説
目次
- 1. Microsoft Fabricとは?
- 1.1 Fabricの概要と誕生背景
- 1.2 データ基盤を統合する「オールインワンプラットフォーム」
- 1.3 主な構成要素(OneLake/Lakehouse/Data Factory/Power BI)
- 2. Power BIとMicrosoft Fabricの違い
- 2.1 位置づけの違い(BIツール vs 統合データ基盤)
- 2.2 データの扱い方の違い(可視化中心 vs データ管理)
- 2.3 運用範囲の違い(分析レイヤー vs パイプライン全体)
- 2.4 OneLakeでのデータ統合と共有
- 2.5 Lakehouse/Warehouseによる柔軟なデータモデリング
- 2.6 Power BIとのシームレス統合
- 3. Power BIユーザーがFabricを活用するメリット
- 3.1 データソースの一元管理による運用効率化
- 3.2 高速処理とデータガバナンスの強化
- 3.3 分析から意思決定までのスピード向上
- 4. Fabric導入を検討する際のポイント
- 4.1 ライセンス・料金体系の概要
- 4.2 導入の前提環境(Entra ID/Power BI Service)
- 4.3 小規模から始める導入ステップ
- 5. まとめ:Power BIの先にあるFabricの世界

※Microsoft公式から引用
Power BIを業務で使っていると、最近よく耳にする「Microsoft Fabric」という名前に戸惑う方も少なくありません。
「Fabricって結局何ができるの?」
「Power BIとどう違うの?」
「自社で使うべきなのか判断できない」
こうした疑問は、多くの分析担当者・データ基盤担当者が共通して抱えるものです。
FabricはPower BIと深く連携しつつ、データ取り込みから加工・保存・可視化までを1つの基盤で提供する、これまでにない新しいデータプラットフォームです。
本記事では、Power BIユーザーが特につまずきやすいポイントを中心に、Fabricの概要・特徴・できること・導入メリットを分かりやすく整理します。
Power BIの次のステップを考えている企業、データ基盤の刷新を検討している企業にとって、Fabricがどのように役立つのか理解できる内容になっています。
Microsoft Fabricとは?

Fabricの概要と誕生背景
Microsoft Fabricは、データの取り込み・加工・保存・分析を一つの環境で完結できる統合型データ分析プラットフォームです。従来の企業では、ETL、データレイク、データウェアハウス、BIツールがバラバラに存在し、担当部門も異なるケースが多くありました。その結果、データの整合性が取りづらい、部門によって数字が違う、更新作業が重複するなどの課題が生まれていました。
Fabricは、この「分断されたデータ環境」を解消するために開発されました。Power BIとの高い互換性を備えているため、既にPower BIを導入している企業にとってもスムーズに適用しやすい設計になっています。
データ基盤を統合する「オールインワンプラットフォーム」
Fabricの最も大きな特徴は、データ活用に必要な複数の工程を一つのプラットフォームに統合できる点にあります。従来のように「この処理はAのツールで、集計はBで、可視化はC」と分ける必要がなく、同じワークスペースで一気通貫の処理ができます。
Fabricに統合されている領域は次の通りです。
- データの取り込み(Data Factory)
- データ加工・エンジニアリング(Spark)
- データ保存(OneLake/Lakehouse/Warehouse)
- 可視化(Power BI)
複数ツール間のデータ受け渡しが不要になり、更新管理や権限管理も共通化しやすくなります。
主な構成要素(OneLake/Lakehouse/Data Factory/Power BI)
Fabricは複数の機能群で構成されており、それぞれがOneLakeを中心に連動しています。特にPower BIユーザーが理解しておくべき構成要素を表にまとめました。

これらが同じデータ基盤(OneLake)を参照するため、データコピーに依存しない効率的な運用が可能になります。
Power BIとMicrosoft Fabricの違い

位置づけの違い(BIツール vs 統合データ基盤)
Power BIとMicrosoft Fabricは名前が似ていますが、別の製品です。
- Power BI:BIツール(可視化・レポート・ダッシュボードに特化)
- Fabric:データレイク・DWH・ETL・分析・可視化まで含む統合データ基盤
- データ更新
- モデル管理
- 権限設計
- データ品質管理
- データのライフサイクル管理
- 部門横断の権限管理(Entra ID)
- OneLake での共通ストレージ運用
- 大規模データ処理の最適化(Direct Lake など)
- データ更新とレポート更新が同じ基盤で完結
- 部門ごとの「数字の違い」が解消
- 大規模データでも高速処理
- 同じデータを部門横断で参照できる
- データコピーが減り、管理負荷が下がる
- 権限や監査ログを集中管理しやすい
- Lakehouse:前処理・変換・柔軟なデータ加工を担当
- Warehouse:ビジネスで使う公式データモデルを保持する中心レイヤー
- Power BI:Warehouseを参照して高速に可視化するレイヤー
- インポート不要で高速表示
- OneLake更新がPower BIにも即反映
- 中間ファイルを減らせる
- レポート間で共通データを利用できる
- データ更新の管理が一箇所にまとまる
- 参照関係が整理され、トラブル対応が容易
- データ担当とレポート担当の調整が減る
- データ更新がレポート側にも即反映
- 新データ追加 → ダッシュボード反映の速度が向上
- Fabricは容量課金
- 小規模利用は低SKUで十分
- Power BI Premium利用中ならそのまま利用可能な場合も
- 料金体系は変動があるため公式の確認が必須
- Entra IDでユーザー管理が行われている
- Power BI Serviceのワークスペース運用が可能
- 管理者がFabricを有効化している
- 更新負荷が高いレポートを1つ選ぶ
- 対象データをOneLakeに移行
- Power BIデータソースをFabricに変更して検証
- 問題なければ他レポートにも展開
両者は上下関係というより 階層が異なる存在 であり、Fabric の構成要素の一つとして Power BI が位置付けられます。
製品の関係性(図解イメージ)
Fabric(統合データプラットフォーム)
├── OneLake(ストレージ)
├── Data Factory(データ取り込み・ETL)
├── Lakehouse(データレイク)
├── Warehouse(DWH)
└── Power BI(可視化) ← 構成要素のひとつ
つまり「Fabric の中に Power BI が含まれている」という構造です。

データの扱い方の違い(可視化中心 vs データ管理)
Power BIは、既存のデータを可視化するツールであり、データ加工はPower Queryが中心です。
一方、Fabricはデータの取り込み〜加工〜保存〜共有〜可視化までを網羅します。

Fabric上で作ったデータモデルは複数レポートで共同利用できるため、データの“使い回しやすさ”が圧倒的に向上 します。
運用範囲の違い(分析レイヤー vs パイプライン全体)
Power BI は可視化に特化しているため、
といった運用面は限定的です。
Fabricは、これらを含めてパイプライン全体を管理できる基盤です。
Fabricがカバーする追加領域
結果として、
というメリットが生まれます。

OneLakeでのデータ統合と共有
OneLakeはFabricの中心となるストレージで、組織内のデータを一元管理できます。従来のように部門ごとにファイルを管理すると、数字の不整合やデータコピーの増加が起こりやすくなります。
OneLakeの利点は以下です。
Power BIユーザーにとっては、データソースの選択が格段に簡単になる点もメリットです。
Lakehouse/Warehouseによる柔軟なデータモデリング
Fabric では、Lakehouse と Warehouse を使い分けることで、柔軟性と堅牢性を両立したデータ基盤を構築できます。
Lakehouse
ファイル形式(Parquet, CSV など)とテーブル形式の両方を扱えるストアで、データ探索や前処理、加工など “柔軟な操作” に向いています。
Warehouse
厳密なスキーマ管理を備えたデータウェアハウスで、組織が公式に参照する「信頼できる分析用データモデル(Single Source of Truth)」を保持する役割を持ちます。
一般的な構成イメージは以下の通りです。
この構造により、データエンジニア(Lakehouse)と分析担当者(Power BI)が、Warehouseを共通基盤として同じデータモデルを参照できるため、部門ごとの数字の不整合を防ぐことができます。
Fabricを採用すると、データ加工〜モデリング〜可視化の流れが一貫し、分析チームと IT チームが同じ基盤で協働しやすくなる点が大きな利点です。
Power BIとのシームレス統合
FabricではPower BIが標準搭載されているため、データ加工から可視化までスムーズに連携できます。特にDirect Lakeは大容量データの可視化で威力を発揮します。
Power BIユーザーの課題である「重い・遅い」を根本的に改善できます。
Power BIユーザーがFabricを活用するメリット

データソースの一元管理による運用効率化
Fabricでは、Power BIとデータ基盤を同じワークスペースで管理でき、レポートごとに異なるデータセットが乱立する問題を防げます。
代表的なメリットは次の通りです。
データの“置き場所”が統一されることで、更新運用が大幅に効率化します。
高速処理とデータガバナンスの強化
Fabricは高速処理と統制強化を同時に実現できる点が大きな特徴です。特にDirect Lakeは、Power BIの表示速度を根本的に改善する技術です。

Power BI単体では「個別最適」になりやすい領域を、Fabricが包括的に補完します。
分析から意思決定までのスピード向上
Fabricでは取り込み・加工・可視化が同一基盤で完結するため、分析サイクル全体が短縮されます。
例えば以下の変化が生まれます。
意思決定のリードタイムを短くしたい企業には特に大きなメリットです。
Fabric導入を検討する際のポイント

ライセンス・料金体系の概要
FabricはF SKUという容量ベースのライセンス体系を採用しており、小規模検証からスケールアップまで柔軟に対応できます。
料金理解のポイントは以下です。
導入の前提環境(Entra ID/Power BI Service)
Fabricを利用するには、Entra IDとPower BI Serviceが必須です。これらが適切に設定されていることで、Fabric上での認証・権限管理がスムーズになります。
条件は次の通りです。
Power BI利用企業であればこの条件は容易に満たせます。
小規模から始める導入ステップ
Fabric導入は「全社適用」より「スモールスタート」が現実的です。
ステップの例は以下です。
効果を測りながら導入を進められるため、社内の合意形成も容易です。
まとめ:Power BIの先にあるFabricの世界

Microsoft Fabricは、Power BIを中心とした可視化の世界から一歩進み、「データ基盤全体」を効率化するためのプラットフォームです。OneLakeでデータを統合し、Lakehouse/Warehouseでモデリングし、Power BIで可視化するという流れを一つの環境で実現できます。
すでにPower BIを活用している企業にとって、Fabricは自然に導入できる“次のステップ”であり、小規模導入でも十分に効果を得られます。データ活用のスピードや精度を高めたい企業にとって、有力な選択肢となるでしょう。
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