医療機器台数の割合を調査した結果、意外な県がトップ3にランクイン!?
目次
地域ごとの医療機台数がどの程度異なるのかご存知でしょうか。各地域でも、人口あたりの医療機器の台数などを比較すると大きく異なるのがわかります。今回はそんな医療機器の配置の状況についてご紹介します。
医療機器の定義とは何か?
そもそも、医療機器とはどういうものを指すかということですが、
医機連のホームページでは医療機器の定義は下記のように定義されています。
医療機器は、構造、使用方法、効果又は性能が明確に示されるものであって、「疾病の診断、治療、予防に使用されること」又は「身体の構造、機能に影響を及ぼすこと」のどちらかの目的に該当し、政令で定めるものとなっています。例えば、疾病の予防に使用する目的の機器でも政令で定められていない場合(例:マスク等)は、「医療機器」に該当しません。
薬機法第2条第4項において以下のとおり定義されています。
「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であって、政令で定めるものをいう。」
※参考:http://www.jfmda.gr.jp/device/about/
医療機器の中で、CTやMRIの定義や設置数に関する調査
都道府県別のCT、MRIの状況について、平成26年医療施設調査の結果を厚生労働省が公開しております。
結果を見る前に、まず、CTとMRIとは何か?を簡単に説明したいと思います。
医療機器の調査①:CT、MRIの定義、メリットやデメリットについて
CT、MRIはともに画像診断に用いられますが、別物で、それぞれに長所と短所があります。
CT検査は、X線を体の回りに当てて、得られた情報をコンピューターで計算し、格子の目のような2次元画像を作る方法です。
広い範囲の検査にはCTが適しています。また、骨や肺の状態を観察したい場合にはCTが適しています。しかしCT検査では放射線被ばくがあることが欠点です。また病変と正常組織の濃度の差(コントラスト)ではMRIに劣ります。
MRIは、磁気を利用して、体内の水素原子の量と、水素原子の存在の仕方を検査する方法です。放射線の被ばくがないため、繰り返す検査や子供・妊婦の検査に適しています。病変部と正常組織のコントラストも良好で、冠状断像や縦断像など、どんな断面像でも得ることができるのも利点です。しかし、検査の範囲が狭い、検査に時間がかかる、骨の変化がわかりにくい、という欠点があります。ペースメーカーを埋め込まれている患者さんには施行できず、また狭い場所に入るので、閉所恐怖症の患者さんにも不向きです。
※参考:http://www.nirs.qst.go.jp/hospital/image/image_03a.shtml
医療機器の調査②:CTやMRIの台数ランキング(人口あたり)
人口あたりCT台数及びMRI台数(台/10万人)でのグラフを見ると、CT、MRIともに四国、九州では台数が多く、関東では少ないことが分かります。人口あたりCT台数及び人口あたりMRI台数は、それぞれ最大3.2倍、3.0倍の差があります。
- CT:上位3県(徳島県、高知県、鹿児島県)⇔下位3県(神奈川県、滋賀県、千葉県)
- MRI:上位3県(香川県、高知県、鹿児島県)⇔下位3県(神奈川県、東京都、埼玉県)
高知県、鹿児島県はCT、MRIともに上位で、神奈川県はどちらも最下位の結果になりました。
また、CT1台あたり患者数及びMRI1台あたり患者数で見ると、関東、関西が多く、四国、九州では少ない結果となっております。しかし、関東でのCT台数及びMRI台数が少ない=施設が充実していないというわけではなく、関東は人口と施設が密集しているため、少ない施設(機器)で多くの患者を検査可能なのに対し、四国、九州は施設間の距離が長く、関東と比較して、人口も密集していないため、多くの施設(機器)が必要であるのでは?と考えることも出来ます。
ただ、人口あたりCT患者数及び人口あたりMRI患者数で見ると、関東が少なく、四国、九州が多いことから、多くの施設に機器が設置した方が、受診しやすいのではないか?と考えることもできます。
※参考:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000130336.pdf
終わりに
今回は医療機器に関する定義や設置台数を人口ごとで比較してご紹介しました。東京や千葉、埼玉、神奈川などの人口が密集している都市では、人口当たりの医療機器が意外と少ないのがみてとれたのではないでしょうか。
機器の設置状況の地域差の原因には、高齢化率、医療への需要の差が挙げられます。また、CTやMRIのような機器は高額であるため、簡単に導入できるものでもありません。そこで、下記、梅宮氏の調査によると、装置設置状況を把握し、推計受検者数の算出、収支シミュレーションを実施することで、地域偏在の緩和、医療資源の採算性の健全化が見込め、医療機器導入の際の判断材料、意思決定に有用な情報にもなると考えられます。しかし、資源配分の歪みや地域偏在に対して各医療機関の能動的な対策に期待するのは困難であり、自治体主導の取り組みが求められます。
※参考:http://www.u-hyogo.ac.jp/mba/pdf/SBR/6-2/023.pdf