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Marketing Cloudのセキュリティとガバナンスとは アクセス制御や運用ルールを分かりやすく解説

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Marketing Cloudを複数の部署やブランドで活用していると、「この設定、本当に大丈夫なんだろうか?」と漠然とした不安を感じる瞬間があるはずです。運用が広がるほどに設定は複雑化し、ミスやトラブルの温床にもなりかねません。

本記事では、情報システム部門や管理者の立場から、Marketing Cloudのセキュリティとガバナンスをどう設計・整備すべきかを、具体例を交えて丁寧に解説していきます。

Marketing Cloudでセキュリティとガバナンスが重要になる3つの理由


便利で自由度の高いMarketing Cloudですが、その柔軟さゆえに運用が属人化しやすく、気づかないうちにリスクが潜んでいることも少なくありません。

特に組織横断で利用される環境では、セキュリティとガバナンスの整備が欠かせないテーマとなります。

部門・ブランド横断利用による管理の複雑化

Marketing CloudはBusiness Unitごとに機能を分けて使えるため、多様なチームが同時に活用できる反面、運用ルールが曖昧なままだと混乱を招きます

。誰が何をできるのか、誰が責任を持っているのか。その見える化ができていないと、ちょっとした設定ミスが思わぬ事故につながることもあるのです。

個人情報を扱う以上、コンプライアンス対応は必須

配信リストやWebの行動履歴など、Marketing Cloudで扱うデータの多くは個人情報にあたります。だからこそ、暗号化の有無や保存ポリシーの明示、アクセス制限の適切さといった観点が問われます。

表面的な設定だけでなく、実際の運用で“守れているかどうか”を確認する視点が欠かせません。

設定ミスや権限逸脱がビジネスリスクにつながる

一部の担当者に設定作業が集中していると、チェックが甘くなり、意図せぬ配信や誤ったデータの取り扱いが発生しがちです。

たとえば、別部署向けのキャンペーンが全体に配信されてしまうといったトラブルは、決して珍しくありません。こうしたリスクは、日々の運用のなかで静かに積み上がっていきます。

小さなほころびを見逃さず、組織として統制が取れているかどうかを見直すタイミングが必要です。

セキュリティ設計で押さえておきたい3つの基本方針


Marketing Cloudを安全に活用していくうえで、セキュリティの基本設計は避けて通れません。とはいえ、すべてを完璧に固めようとすると、現場の運用に負荷がかかりすぎてしまうこともあります。

このセクションでは、最低限ここは押さえておきたいという3つのポイントを整理します。

最小権限の原則とユーザー役割の明確化

全員に同じ権限を与えてしまうと、思わぬ操作や情報漏えいにつながりかねません。必要な人に、必要なだけの権限を付与する“最小権限の原則”は、セキュリティ設計の出発点です。

たとえば、データのエクスポートや設定変更は管理者のみに限定し、現場の担当者には閲覧や作成にとどめるといった切り分けが有効です。業務内容に応じたユーザー役割をあらかじめ整理しておくと、運用時の混乱も減らせます。

MFAやIP制限などのアカウント保護策

Marketing Cloudに限らず、アカウントの乗っ取りはセキュリティ事故の典型的な原因です。

多要素認証(MFA)は、手間はかかるものの、基本的かつ強力な防御手段のひとつ。さらに、特定のIPアドレス以外からのアクセスを制限しておけば、不審なログインのリスクも格段に下がります。

普段使わない設定項目こそ、あらためて見直しておきたい部分です。

監査ログ・セッション管理で可視化を確保

万が一トラブルが発生した場合、誰がいつどの操作を行ったかを後から確認できるかどうかで、対応スピードも信頼性も変わってきます。

監査ログやセッションの記録を有効にし、一定期間保存しておく体制は、平時の備えとして重要です。また、ユーザーの操作ログを定期的にチェックすることで、設定ミスの早期発見にもつながります。

見えないところにこそ、安心を生む仕組みが求められるのです。

ガバナンスルールを整備するための3ステップ


セキュリティの基本方針が固まったら、次は実際の運用に耐えられる「ルール設計」が必要になります。複数の部署やチームが関わるMarketing Cloudのような環境では、属人化を避けるための仕組みづくりが重要です。

ここでは、ガバナンス体制を整えるための3つのステップを紹介します。

Business Unitsを活用した組織単位の切り分け

Marketing CloudではBusiness Unit(BU)を使って、組織やブランドごとにデータやコンテンツの管理を分けることが可能です。BUを正しく設定すれば、配信リストやテンプレート、アクセス権限を明確に分けることができ、誤配信や情報混在のリスクを軽減できます。

部門やプロジェクト単位での切り分けに加え、権限階層の整理も合わせて行うと、より統制のとれた運用が実現します。

パスワードポリシー・権限制御の標準化

利用者ごとにバラバラなルールで運用していると、トラブルの温床になりやすいものです。

たとえば、ある部署では定期的にパスワードを更新しているのに、別の部署では初期設定のまま放置されていた──そんな事態が発生しないよう、全社的に共通のルールを設けておくことが大切です。

管理者権限の付与・削除やアカウントの棚卸しを定期化することで、抜け漏れも防ぎやすくなります。

レビュー体制と定期棚卸しでルールを形骸化させない

ルールを整備しただけでは、時間の経過とともに形骸化してしまうこともあります。

そこで重要になるのが、定期的なアクセス権のレビューと、設定内容の見直し。新規プロジェクトや人員の入れ替えなど、組織は常に変化しています。

変化に合わせてルールをアップデートする仕組みを持つことで、現場とのズレを最小限に抑えられます。管理部門だけでなく、実際の運用者を巻き込んだ定期棚卸しが、継続的な改善につながります。

見落とされがちな「データ保護」の観点とは

Marketing Cloudのセキュリティ対策というと、どうしてもユーザー管理やアクセス制御に意識が集中しがちです。しかし、本来守るべき対象は「データ」そのものです。

扱う情報の機密性や活用方法に目を向けることが、より実効性のあるセキュリティ強化につながります。

個人情報(PII)の取り扱いと暗号化オプション

氏名やメールアドレス、行動履歴といった個人情報(PII)は、外部に漏れた際のインパクトが非常に大きいため、特に慎重な取り扱いが求められます。

Marketing Cloudでは、保存データに対して暗号化やマスキング処理を施す設定も可能です。こうした機能を活用することで、万が一の漏えい時にも被害の拡大を抑えることができます。

必要な情報だけを取得・保持するという原則も、あらためて意識しておきたいところです。

API連携・外部送信時のリスク管理

他システムとのAPI連携は便利な反面、情報の出口が増える分だけリスクも増大します。

たとえば、認証キーの管理が甘かったり、通信が暗号化されていなかったりすれば、そこからデータが流出する恐れもあります。

連携先の整理や権限設定の見直し、SSL証明書の有効性チェックなど、技術的な観点での管理も欠かせません。

不要なデータ保持を防ぐポリシー設計

集めたデータを漫然と保存し続けていると、リスクだけが積み重なっていきます。

たとえば、配信停止済みの顧客情報や古いキャンペーン履歴など、すでに使われていないデータも意外と多いものです。保存期間の上限や削除ルールを明文化し、自動削除の仕組みを取り入れることで、安全性と運用効率の両立が可能になります。

何を、どこまで、どのくらい残すかを“選び取る”視点が、今後ますます重要になっていくでしょう。

まとめ

Marketing Cloudを活用するにあたって、セキュリティとガバナンスは決して後回しにできないテーマです。特に複数の部署やブランドが関与する場合、ルールの不在や設定の不統一が、思わぬリスクを生むこともあります。だからこそ、まずは「どこまで見えているか」「何が抜けているか」を確認することから始めてみてください。

本記事では、セキュリティ設計の基本から、実際の運用に即したガバナンスルールの整備、そして見落とされがちなデータ保護の観点までを幅広く取り上げてきました。すべてを一度に整える必要はありません。少しずつでも、気になったところから見直していくことで、事故の芽を早めに摘み取ることができます。

情報システム部門や管理者の皆さんにとって、「安全で、無理のない仕組みづくり」は決して理想論ではありません。今日から着手できる小さな改善が、半年後、一年後の安心につながっていくはずです。

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