Mobile Pushとは 位置情報送信やAPI連携を分かりやすく解説
#Marketing Cloud #API連携 #Mobile Push #位置情報送信
目次
スマホアプリを持つ企業にとって、プッシュ通知は顧客との貴重な接点です。なかでもSalesforce Marketing Cloudの「Mobile Push」は、一斉配信にとどまらず、より高度なコミュニケーションを可能にする機能を備えています。
たとえば「今、店舗の近くにいる人にクーポンを届ける」「注文完了後すぐに通知を送る」「行動履歴に応じて個別対応する」といったことも、Mobile Pushならすべて実現可能です。
この記事では、「位置情報との連携」や「APIを使ったリアルタイム通知」など、Mobile Pushの応用的な使い方について、専門知識がなくても理解できるよう噛み砕いて解説します。機能を使いこなしたいけれど、どこから手をつければいいか分からない――そんな方にこそ読んでいただきたい内容です。
Mobile Pushで広がる3つの活用領域
Mobile Pushは、ただの通知手段ではありません。顧客との接点をよりタイムリーに、よりパーソナルに変えていくためのツールです。
特に「位置情報」「API」「パーソナライズ」という3つの観点から、その可能性は大きく広がります。いずれも、活用の幅が広がるだけでなく、ユーザー体験そのものを改善する大きなきっかけとなります。
難しそうに思えるかもしれませんが、必要なのは完璧な技術理解ではなく、「どんな通知がユーザーにとって嬉しいのか」という視点です。マーケティング施策として十分に実践可能な領域だといえます。
位置情報を活用した来店促進シナリオ
たとえば、ユーザーが店舗近くを通った瞬間に、「今だけのクーポンを配信中」と通知を送る。そんなタイミングを逃さない施策が、Mobile Pushなら実現できます。
具体的には、ジオフェンスやBeaconとの連携により、特定エリアへの出入りを検知して通知をトリガーにできます。来店を後押しするだけでなく、「ちゃんと見てくれてる感」を演出できるのも強みです。
位置情報を活用することで、オフラインの動きもマーケティング施策に取り込めるのは、リアル店舗を持つ業種にとって大きな武器になります。
API連携で実現するリアルタイム通知
「注文完了」や「会員ランクの更新」など、ユーザーの行動やシステムの変化に合わせて、タイムリーに通知を届けられるのもMobile Pushの強みです。
APIを使えば、外部システムからの情報をリアルタイムで受け取り、その瞬間に反応する仕組みを組むことができます。技術的な設定はエンジニアの協力が必要になりますが、通知の内容や配信タイミングの設計はマーケティング側で担えます。Journey Builderを使えば、その構築も意外と直感的です。
こうしたリアルタイム連携は、ユーザー体験を高めるだけでなく、運営側の業務負荷や無駄も減らせる点で、投資対効果の高い施策といえます。
パーソナライズ配信でCV率を上げる
誰にでも同じ通知を送る時代は終わりました。Mobile Pushを使えば、ユーザーの属性や行動履歴に応じた「あなた向けの通知」を出し分けることが可能です。
たとえば、過去にある商品を購入した人にだけ、「再入荷しました」といったリマインド通知を送るといった活用法もあります。Contact BuilderやAnalyticsとの連携によって、対象ユーザーの抽出も柔軟。通知の“質”が変わることで、CV率も着実に改善されていくはずです。
「通知はうざがられるのでは?」という懸念もありますが、ユーザーに“自分向け”と感じてもらえる内容であれば、受け取られる体験そのものが変わってきます。
活用前に知っておきたい3つの準備ステップ
応用的な機能を使いこなすには、事前の準備が肝心です。Mobile Pushの導入には、いくつか技術的なハードルもありますが、ひとつずつ着実にクリアすれば大きな障害にはなりません。
とくに位置情報連携やAPIによる通知は、仕組みが複雑そうに見えるだけに、最初の設計や設定フェーズでつまずきがちです。しかし実際には、役割分担やステップを明確にして進めれば、必要以上に身構える必要はありません。
ここでは、マーケティング担当者が把握しておくべき準備ステップを3つに分けて解説します。導入検討中の方は、ぜひイメージづくりに役立ててください。
SDKの導入と初期設定の要点
まず最初に必要となるのが、Mobile Push SDKの組み込みです。これはiOS/Androidアプリに必要なライブラリで、通知の受信や位置情報の取得など、Mobile Pushの核となる機能を実装するための基盤になります。
初期設定では、アプリごとに発行されるアプリIDやMID(Marketing Cloudのインスタンス識別子)を指定します。ここでの設定ミスが後工程に響くこともあるので、開発担当との密な連携が欠かせません。
なお、初期段階では「通知が届かない」「配信数がゼロ」といったトラブルもありがちです。多くの場合、SDKのバージョン不整合や通知許可設定の見落としが原因です。早い段階でテスト環境を整えておくことで、こうした“つまずき”を事前に回避できます。
アプリ連携と認証情報の整理方法
次に行うのが、Marketing Cloudと自社アプリの連携設定です。ここでは、API連携に必要な認証情報や、連携アプリの作成が求められます。
OAuth認証を使った連携が一般的で、Client IDやClient Secretといった情報を取得し、アプリ側に組み込んでいく流れです。このあたりも、技術的に難しそうに思えるかもしれませんが、一度環境が整ってしまえばあとは使いまわせる部分も多く、設定のハードルはそこまで高くありません。
また、トークンの有効期限管理や権限の設定漏れにも注意が必要です。運用開始後にAPIエラーが出ないよう、連携設定は念入りにチェックしておきたいポイントです。
テスト送信で見落としがちな落とし穴
開発・連携が完了したら、すぐに配信したくなりますよね。ただし、本番運用の前に必ずテスト送信を行うことが大切です。ここで見落としがちなポイントがいくつかあります。
たとえば、「通知が届かない」と感じたとき、原因が端末の通知設定やOSバージョンの制限にあるケースもあります。また、ユーザーID(Contact Key)の紐付けがうまくできていないと、パーソナライズ配信が機能しません。
テストでは、複数端末・OS・ユーザー属性での送信を試すのがおすすめです。通知が正常に届いているか、内容が想定通りに表示されるかを確認し、細かな調整を重ねることで、安心して本番を迎えられます。
効果を最大化するための運用ポイント
Mobile Pushは導入すれば終わりではありません。むしろ本当の勝負はその後の“運用”にあります。
便利な機能も、使い方を間違えればユーザー体験を損ねてしまうことも。逆に、少しの工夫で開封率やCV率を大きく改善できるのがプッシュ通知の面白いところです。
ここでは、成果につながる運用の考え方を3つの視点から整理しました。継続的に成果を出すには、戦略と仕組みの両輪が欠かせません。
セグメント設計と配信タイミングの考え方
プッシュ通知は、ただ配ればいいというものではありません。届ける相手とタイミングを丁寧に設計することで、初めて「読まれる通知」になります。
たとえば、ランチ直前の時間帯にクーポンを配信する飲食店、雨の日に傘の割引通知を送る小売店など、シーンに合った使い方が成果を生みます。Mobile Pushでは、性別・年齢・エリア・過去の行動などをもとにセグメントを柔軟に切れるので、ぜひそこに“戦略的な視点”を持ち込みたいところです。
さらに、通知を開封した/しなかった、クリックした/離脱した、という行動データも蓄積されていくため、効果検証と改善のサイクルも回しやすくなります。運用を通じて“自社らしい勝ちパターン”を見つけていくことが、長期的な成果につながります。
Journey Builderとの連携活用
Mobile Pushの魅力のひとつは、Salesforce内の他機能と連携できる点です。特にJourney Builderとの組み合わせは非常に強力で、ユーザーの行動やステータスに応じた“シナリオ通知”が構築できます。
たとえば「アプリ登録から1日後にウェルカム通知→1週間後に人気商品の紹介→未購入ならリマインド」といった設計も、ブロックを組み立てる感覚で作成できます。こうした自動化の仕組みがあると、少人数のチームでもスケールの大きい施策が実現できます。
初めてJourneyを組む際は、以下のような順序を意識するとスムーズです。
- シナリオ全体のゴール(来店促進/購入促進など)を明確にする
- ステップごとの配信内容とタイミングを紙に書き出す
- Journey Builder上でトリガー/決定ルール/アクションを組み立てる
最初は戸惑うかもしれませんが、テンプレートを活用すれば最短30分程度で簡易シナリオを作ることも可能です。
位置情報やイベントログの活かし方
Mobile Pushでは、配信結果やユーザーの反応だけでなく、位置情報やアプリ内のイベントログも取得可能です。これらのデータを活用することで、より“次に活かせる施策設計”が可能になります。
たとえば「クーポン通知を開いたのに来店しなかったユーザー」には別の施策を設ける、「通知を開いた地点」が駅前ならその行動傾向をマーケティングに反映する――など、打ち手の幅が一気に広がります。
さらに、プッシュ通知の開封率やアプリ内行動といったKPIと、店舗別の売上データなどを突き合わせることで、「通知がどこまで購買行動に貢献したか」まで分析することも可能です。
Mobile Pushは配信ツールであると同時に、行動データを得る“インサイトツール”でもあるという意識を持つことで、運用の価値がさらに高まります。
まとめ
Mobile Pushは、ただ通知を配信するだけのツールではありません。位置情報を活用した来店促進、API連携によるリアルタイム通知、そしてユーザーごとに最適化されたパーソナライズ配信など、活用次第でマーケティングの可能性が大きく広がります。
導入時の設定や運用には少しハードルを感じるかもしれませんが、それは最初だけ。実際には、マーケティング視点で活かせる場面が多く、仕組みさえ整えば、少人数でも高度な施策が展開できます。
「今の通知配信、これで本当に効果出ているのか?」と感じている方こそ、Mobile Pushの応用に目を向けてみてください。通知を“届ける”だけでなく、“成果に変える”視点を持つことが、次の一手につながります。
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