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国民生活基礎調査とは オープンデータの特徴や活用方法を解説

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厚生労働省は、「国民生活基礎調査」を毎年実施することにより、日本国民の生活の実態を把握し、行政の企画及び立案に役立てています。国民生活基礎調査で調査している事項は、保健、医療、福祉、年金、所得等の多岐分野にわたります。

そのため、国民生活基礎調査で収集されたオープンデータを分析することで、自社サービスや施策展開に活用することが可能です。

この記事では、国民生活基礎調査のオープンデータの活用を検討している方に向けて、国民生活基礎調査の詳細やオープンデータの活用方法について解説します。最後まで読むことで、オープンデータの特徴をどのようにサービスに応用できるかを理解できます。

国民生活基礎調査とは


国民生活基礎調査とは、1986年から始まった厚生労働省が実施している調査です。日本全国民からランダムに選ばれた約28万世帯を対象に毎年調査が行われます。

調査結果で得られた情報は、厚労省が行う行政上の取り組みの資料として活用されます。
また、国民生活基礎調査のもう一つの役割が、厚生労働省が行っている各種調査の調査対象である集団を構成している単位を抽出するための枠の設定です。

国民生活基礎調査の結果は、厚生労働省のホームページまたは政府統計の総合窓口(e-Stat)で確認できます。

2つに分かれる国民生活基礎調査の種類・内容


毎年行われる国民生活基礎調査ですが、調査の規模によって大きく2つに分けられます。

大規模調査

3年に1度実施される大規模な調査です。大規模調査では、次の5種類の調査票によって調査が実施されます。

調査票

調査項目

世帯票

家計支出総額、世帯員数、就業状況、医療保険の加入状況、出生年月、年金・恩給の受給状況

健康票

健康管理やその意識、入院や通院などの状況、医療費用

介護票

介護が必要となった原因、要介護度の状況

所得票

所得税などの額、所得の種類別金額、生活意識の状況

貯蓄票

貯蓄額、借入金の残高、貯蓄の増減

 

簡易調査

大規模調査がない各年に実施される、小規模で簡易的な調査です。簡易調査では、次の2種類の調査票によって調査が実施されます。

調査票

調査項目

世帯票

世帯員数等、家計支出総額、最多所得者、世帯主との続柄、性、出生年月、配偶者の有無、医療保険の加入状況、傷病の状況、公的年金・恩給の受給状況、教育、公的年金の加入状況、5月中の仕事の状況、勤めか自営か

所得票

性、出生年月、所得の種類別金額、課税等の状況別金額、企業年金・個人年金等の掛金、生活意識の状況

 

国民生活基礎調査の活用方法


全国28万世帯にも及ぶ生活状況に関する膨大なオープンデータは、国民の生活を豊かにするための施策の策定に活用できます。主な活用方法は次の通りです。

がん検診受診率向上のための施策展開

男女別で40歳から69歳の過去1年間の検診受診率を見ると、以下項目のいずれにおいても検診率が向上しています。

  • 胃がん検診
  • 肺がん検診
  • 大腸がん検診
  • とは言え、厚労省が定める「第3期がん対策推進基本計画」の基準を満たしていない項目もあります。厚労省は本施策において、がん検診の受診率の向上を目的とし、50%以上の検診受診率を目指しています。
    人口動態調査を活用すれば、男女別の検診受診率の内訳が細かく確認できます。受診率の低い検診が一目瞭然ですので、低検診受診率の検診項目に対して啓蒙強化施策が展開できます。
    国全体で、啓蒙強化すべき検診に対して対策を講じることができるのです。

    要介護者に対する適切な介護提供のための施策展開

    「要介護者等のいる世帯の状況」を見ると、世帯別で要介護と認定された方がいる世帯が一目瞭然で分かります。
    結果は「核家族世帯が」が最も多く、次に「単独世帯」が2番に多いです。次に「その他の世帯」が多いという状況になっています。

    つまり「三世代世帯」の割合が少なくなっていることが分かります。
    であれば、その世帯に対して手厚い介護環境が必要ということが分かるのです。
    これを鑑みると、例えば三世代世帯向けに老人介護保健施設の広告施策を展開したり、老人介護保健施設の増設が必要と判断できます。

    また「要介護者」の属性を把握することができます。人口動態調査では、要介護者に関する以下の属性が確認できます。

  • 要介護者のうち、何歳の方が最も多いのか
  • 男女別でみた時の要介護者の内訳
  • 要介護者が「要介護」と認定された原因
  • 要介護者が配偶者であるのか、子であるのか等といった状況
  • 要介護者別にみた介護時間の内訳
  • このように要介護者の属性が事細かに把握できます。これにより対象者に応じた適切な介護が提供できるようになるのです。

    健康リテラシー強化のための施策展開

    「健康意識」を見ると、健康に対する男女別の意識が把握できます。自分を健康と思っている6歳以上の男女を見ると、いずれも約85%程度「健康と思っている」方が存在することが確認できます。

    一方で「サプリメントのような健康食品の摂取の状況」を見ると、いずれの年代においても女性が男性よりもサプリメントを摂取している方が多いことが分かります。
    健康意識は男女別でそれほど差がありませんが「健康のために対策できているか」という視点で見ると、女性の方が対策を講じているということが分かるのです。
    これを鑑みると、男性に対する健康強化の啓蒙が必要ということが分かります。

    悩みやストレス対策の強化

    「悩みやストレスの状況」を見ると、12歳以上でストレスを抱えている方が約半数存在することが分かります。男女別に見ると、女性が5割強であり、男性より10%高い結果となっています。
    年齢別で見ると、男女ともに30代から50代の方の割合が非常に高い結果となっています。
    これを鑑みると、女性に対するこころのケアが必須であり、特に30代から50代の女性に対するより手厚いフォローが必須であることが分かります。

    例えば、女性専用の心療内科を増設したり、女性専用の相談センターの増設を検討するといった施策が必要と判断できるでしょう。

    喫煙率低下対策の強化

    「喫煙の状況」を見ると、20歳以上で喫煙している割合は男性が圧倒的に多く、女性は少ないです。全体的に喫煙率は低下傾向ではありますが、年齢別に見ると、20代から60代の喫煙率が目立っています。
    喫煙は百害あって一利なし。iQOSといった電子タバコが普及している現代ですが、まだまだ対策が必要であることが分かります。

    今後もたばこ税の増額が必要であることが分かりますし、20代から60代に対するたばこの健康阻害要因を知らしめる施策が特に必要であることが分かります。
    非喫煙者が喫煙者に対し、積極的に健康意識向上を啓蒙していくことが求められます。

    また小学校や中学校などの義務教育段階から、より啓蒙を強化することも求められるでしょう。
    新型コロナウイルス対策としても、喫煙率を下げる対策は効果があります。今後も新型コロナウイルスと共存していく上で、喫煙率低下のための施策は非常に重要な意味を持つのです。

    まとめ


    国民生活基礎調査のオープンデータは、厚生労働省により公開されている信憑性の高いデータです。
    年代別、性別ごとに国民の様々な生活に関する情報が実数ベースで把握できます。

    国民にとってより生活しやすい環境を作り出すべく、医療・福祉・年金の観点から様々な対策が必要な現代において、国民生活基礎調査のオープンデータは非常に有益と言えます。
    国民の生活の質がより豊かになるよう、今後も国民1人1人が本調査を活用していく姿勢が求められていくでしょう。

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