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国民健康・栄養調査とは オープンデータの特徴や活用方法を解説

#オープンデータ #国民健康・栄養調査

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日本人の死亡原因の上位を占める疾患は、癌・心疾患・脳血管疾患です。いずれも食事や運動、睡眠などの生活習慣と深い関係があるため、生活習慣病と呼ばれています。私たちが健康的な毎日を送るためには、この生活習慣病の予防が欠かせません。

厚生労働省は、生活習慣病予防を含む国民の健康づくりを目的に「国民健康・栄養調査」を毎年実施しています。国民健康・栄養調査の結果は、厚生労働省のホームページで公開されており、誰でも二次利用が可能です。

本記事では、国民健康・栄養調査の特徴について詳しく解説します。オープンデータの活用法も掲載しているので、ビジネスや病院経営に役立てようと検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

国民健康・栄養調査とは?

国民健康・栄養調査とは、健康増進施策の基礎資料を得ることを目的に、厚生労働省が昭和20年から毎年実施している調査です。本調査によって、国民の身体の状況や栄養摂取量、生活習慣の状況が把握できます。

国民の栄養調査は世界的に行われていますが、半世紀以上にわたり全国レベルの調査を毎年行っている国は日本だけです。世界保健機関(WHO)が発表した「世界保健統計 2024」によると、日本人の平均寿命は世界第一位でした。

国民健康・栄養調査が正しく国民の健康増進施策に活用されてきた結果が、日本人の平均寿命の引き上げに繋がったと言っても過言ではありません。

国民健康・栄養調査の概要

国民健康・栄養調査では、調査対象に選ばれた世帯の自宅に調査員が伺い、調査票を配布します。回答された調査票は、調査員が再度伺った際に回収されます。その後、指定の会場で身体状況の調査を行うという流れです。

国民健康・栄養調査の概要を紹介します。

調査の時期 ・身体状況調査:調査年11月中の1日
・栄養摂取状況調査:調査年11月中の1日
・生活習慣調査票:栄養摂取状況調査日と同日
調査の対象 調査年の国民生活基礎調査で設定された単位区において、層別に無作為抽出した300単位区内の世帯と世帯員
調査事項 ・身体状況調査票:身長、体重、腹囲など
・栄養摂取状況調査票:1日の食事内容など
・生活習慣調査票:運動、睡眠、食生活などの生活習慣全般

 

国民健康・栄養調査の公開内容

国民健康・栄養調査の結果は、厚生労働省のホームページに無料で公開されています。各調査の結果が、項目別に表形式で掲載されているのが特徴です。表から得られた情報は、結果の概要としてまとめられています。

令和元年の「調査の概要」では、以下の項目が集計されています。

項目名 内容
社会環境と生活習慣等に関する状況 ・食習慣改善の意思
・健康な食習慣の妨げとなる点
・食生活に影響を与えている情報源
・外食、持ち帰りの弁当・惣菜、配食サービス、健康食品の利用状況
・運動習慣改善の意思
・運動習慣の定着の妨げとなる点
・非常用食料の用意の状況
身体状況及び糖尿病等に関する状況 ・肥満及びやせの状況
・糖尿病に関する状況
・血圧に関する状況
・血中コレステロールに関する状況
栄養・食生活に関する状況 ・食塩摂取量の状況
・野菜摂取量の状況
身体活動・運動及び睡眠に関する状況 ・運動習慣者の状況
・歩数の状況
・睡眠の状況
飲酒・喫煙に関する状況 ・飲酒の状況
・喫煙の状況
・禁煙意思の有無の状況
・受動喫煙の状況
歯・口腔の健康に関する状況 ・歯・口腔の健康に関する状況
地域のつながりに関する状況 ・地域社会のつながりの状況

 

国民健康・栄養調査のオープンデータの活用方法4選

国民健康・栄養調査は、全国の約1万5千人を対象とした、膨大なサンプル数を誇る調査です。そのため、国民健康・栄養調査のオープンデータを分析することによって、国民の健康状況に関する実態を正確に把握できます。

分析した結果は、以下のような方法でビジネスや病院経営に役立てられるでしょう。

ターゲット層の情報源に焦点を当てた営業戦略を策定する

食品メーカーは、国民健康・栄養調査の「食生活に影響を与えている情報源」を活用することで、売上の増加が見込める営業戦略を策定できます。まずは、売りたい食品のターゲット層が、食品に関する情報をどこから入手しているのかを特定しましょう。

各情報源に焦点を当てて、以下のような営業戦略を立てられます。

情報源 営業戦略の例
テレビ ・テレビ番組内でのPRで商品を露出させる
・テレビCMに広告を打ち出す
ウェブサイト ・商品ページを充実させる
・商品ページへの導線を設置したコラムを運営する
ソーシャルメディア(SNS) ・有益な情報を発信するSNSアカウントを運営する
・SNSに広告を打ち出す

 
ターゲット層が最も流入する情報源に集中してコストをかけられるので、大きな営業利益が期待できるでしょう。また、既存の戦略を見直す際にも、本調査の結果は有効です。

入会者増加のために運動習慣の妨げを排除する

スポーツジムを運営する会社は、国民健康・栄養調査の「運動習慣の定着の妨げとなる点」の上位項目を排除するアプローチを行えば、入会者の増加が見込めます。運動習慣を妨げている要素ごとのアプローチの例は、以下のとおりです。

運動習慣の定着の妨げとなる点 排除するためのアプローチ
指導者がいないこと 専任のトレーナーを入会者につける
経済的に余裕がないこと サブスクリプションの価格を下げる
仕事が忙しくて時間がない 隙間時間に利用できるプランを用意する

 
「運動習慣の定着の妨げとなる点」は、運動習慣改善の意思別に集計されています。改善に積極的な人達が最も入会してくれる可能性が高いため、該当する人達の運動習慣を妨げている要素に着目しましょう。

非常食の売上向上が見込める営業地域を特定する

非常食を販売している食品メーカーは、国民健康・栄養調査の非常用食料に関する結果より、非常食の用意が少ない地域と多い地域を特定できます。非常食の用意が少ない地域に対しては、複数の非常食が数日分セットになった防災リュックの販売効果が期待できます。

また、非常食の用意が多い地域には、既に購入している非常食に買い足すための、個別販売での営業が効果的です。どの非常食を販売すればよいかは、本調査の「地域ブロック別、用意している非常用食料の種類」を参考にしましょう。

非常食の用意の有無や、用意している非常用食料の種類は、年齢層別にも集計されているため、世代のニーズに合ったアプローチ方法を採用できます。例えば、20代〜30代に対してはSNSやウェブサイトを使った宣伝、40代〜60代に対してはテレビや雑誌を使った宣伝が効果的です(※)。

※令和元年 国民健康・栄養調査報告「食生活に影響を与えている情報源(20歳以上、性・年齢階級別)」より

患者に不足しがちな栄養素の情報を提供する

食生活が影響している生活習慣病の患者に対して、国民健康・栄養調査の結果から不足しがちな栄養素を特定し、普段の生活で摂取すべき食材を伝えられます。

食生活の改善に効果のある食事習慣を詳しく伝えられるため、患者からの信頼を得られやすいです。患者からの良い口コミが広がり、新たな患者の獲得に繋がるでしょう。

国民健康・栄養調査では、各栄養素の摂取量が地域・年代・性別ごとに集計されています。患者が属する複数の条件に不足している栄養素をピンポイントで割り出すことが可能です。

まとめ

厚生労働省は、健康増進施策に役立てるために「国民健康・栄養調査」を毎年実施しています。本調査で分かる主な内容は、国民の栄養素等摂取状況・身体状況・生活習慣です。

全国約1万5千人を対象とした調査なので、分析を行うことで国民の実態を正確に捉えた情報が入手できます。ホームページで無料公開されているため、ビジネスにおける売上の向上や病院経営の改善にぜひ役立ててみてください。

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