医療機関コードとは 概要や目的、活用方法を分かりやすく解説
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目次
- 1. 医療機関コードとは
- 1.1 保険医療機関・保険薬局について
- 2. 医療機関コードの目的と重要性
- 2.1 レセプトの突合・縦覧点検の容易化
- 2.2 詳細な統計調査の実現
- 2.3 医療機関名称入力の簡素化
- 2.4 医療機関名称入力ミスの軽減
- 3. 医療機関コードの構成要素
- 3.1 都道府県番号(2桁)
- 3.2 点数表番号(1桁)
- 3.3 郡市区番号(2桁)
- 3.4 医療機関等番号(4桁)
- 3.5 検証番号(1桁)
- 4. 医療機関コードの注意点
- 4.1 医療機関コードは変動する
- 5. 医療機関コードの活用方法2選
- 5.1 取引先の医療機関を管理する
- 5.2 医療機関の営業リストを作成する
- 6. 医療機関コードが分かるフロッグウェルの医療機関マスタ
- 7. まとめ
全国には、約18万もの病院や診療所、歯科クリニック、薬局があり、各地方厚生局長から保険医療機関・保険薬局の指定を受けた施設には、個別に医療機関コードという番号が付与されます。医療機関コードは、診療報酬に関わる請求事務手続きを行う際に必要な番号です。
医療機関コードには、その医療機関が存在する都道府県や郡市区、点数表(分類)などの情報を含みます。医療機関コードは、オープンデータとして公開されているため、誰でも二次利用が可能です。
この記事では、医療機関コードとは何かについて、わかりやすく解説します。医療機関コードの入手方法や活用方法も掲載するので、ぜひ参考にしてみてください。
医療機関コードとは
医療機関コードとは、保険医療機関を一意に特定するための番号のことです。保険医療機関の指定申請が認められた場合、地方厚生局から保険医療機関指定通知書が郵送されてきます(図1)。
保険医療機関指定通知書には、指定の期間、保険医療機関名称・所在地と併せて、付与された医療機関コードが記載されています。この医療機関コードは、主に、保険診療に伴う診療報酬の請求時に使用されます。
保険医療機関・保険薬局について
医療機関コードの付与対象は、厚生労働大臣の指定を受けた保険診療・保健調剤ができる病院や診療所、歯科クリニック、薬局で、保険医療機関・保健薬局(以降は「保険医療機関」で統一)と呼ばれます。
日本では「国民皆保険制度」により、高額な医療費の負担を軽減するために、全ての国民が医療保険に加入することが義務付けられています。
そのため、会社員や公務員は「社会保険(健康保険)」、自営業などは「国民健康保険」に加入し、保険証を受領します。患者は保健医療機関で保険証を提示することにより、総医療費の2~3割の負担のみで済むのです。
医療機関にとっても、患者の経済的な負担が少ない保険診療ができた方が、多くの患者の流入が見込めるというメリットがあります。
医療機関コードの目的と重要性
医療機関コードは、保険診療を行う保険医療機関において、医療費の請求過程で活躍します。
医療機関コードは、医療機関や薬局のみならず、診療報酬の審査を行う審査支払機関や診療報酬を支払う保険者にとって、様々な役割を果たします。
医療機関コードがある主な目的を挙げます。
レセプトの突合・縦覧点検の容易化
医療機関コードの最も重要な目的は、保険診療に伴う診療報酬の請求処理を容易にすることです。保険医療機関は、患者負担分と保険者負担分に分けて医療費の請求を行います。
保険医療機関は、患者負担分以外の医療費を保険者に請求するために、診療報酬明細書(レセプト)を患者ごとに作成し、審査支払機関という第三者機関に提出します。審査支払機関は、受け取ったレセプトの正当性を審査し、その結果を保険者に請求します。
レセプトに医療機関コードを記入することで、審査支払機関が行う、処方箋発行医療機関と保険薬局との突合点検、医療機関ごとのレセプト(過去診療分)縦覧点検などが容易になります。
詳細な統計調査の実現
厚生労働省は、審査支払機関に毎月請求されたレセプトを対象に、国民の医療費や診療内容に関する統計調査を実施しています。調査結果は保健医療行政に活用されています。医療機関コードにより、詳細な調査が可能です。
全国には同一名称の医療機関が複数存在するため、名称のみで医療機関を一意に特定することは難しく、地域単位の集計は容易ではありません。
しかし、都道府県や市区郡の地域情報を含む医療機関コードを付与することで、医療機関の特定、都道府県や診療実績などの情報に基づいた統計が可能になります。
医療機関名称入力の簡素化
医療機関名称には、長いものや読みにくいものもあります。医療機関名称に代わり、医療機関コードを使用することで、医療機関や審査支払機関、保険者のレセプト業務における入力作業がスムーズに進みます。
特に、医療機関のレセプト業務に係る負担が軽減されることで、経営改善に繋がり、医療の質の向上が期待できます。
医療機関名称入力ミスの軽減
複雑な医療機関名称では、入力ミスが発生しやすくなります。レセプト業務では、医療機関名称の入力ミスが発生することで、医療機関の収入に影響を及ぼしかねません。
医療機関名称の誤りにより、審査支払機関から返戻(レセプトの修正・再請求が求められる)されると、診療報酬が入金される時期が遅延します。これが続くと、医療機関の収支管理が難しくなったり、従業員への支払いが滞ったりと不都合が生じてくるのです。
医療機関コードによって入力が簡素化されることで、入力ミスを軽減できます。また、仮に医療機関コードを誤ったとしても、自動補正などの処理を組み込むのが容易です。
医療機関コードの構成要素
医療機関コードは、「都道府県番号」2桁と「点数表番号」1桁に、「郡市区番号」「医療機関等番号」「検証番号」から成る7桁が加わった計10桁で構成されています。
定例報告書や施設基準の届出で記載したり、地方厚生局へ照会したりする際には、「都道府県番号」と「点数表番号」を除く7桁の番号を医療機関コードとして扱う場合もあります(当記事では先述した10桁を医療機関コードとします)。医療機関コード10桁の構成要素について、見ていきましょう。
都道府県番号(2桁)
医療機関コードの最初の2桁は都道府県番号です。全国47都道府県に対して、01から47までのコードが割り振られています。例えば「北海道:01」「東京:13」「沖縄:47」です。
点数表番号(1桁)
3桁目は点数表番号です。点数表とは、診療行為に定められている診療報酬の点数の区分を指します。「1」が医科(DPC)、「3」が歯科、「4」が調剤、「6」が訪問看護ステーションです。
郡市区番号(2桁)
4桁目と5桁目は、それぞれの郡市区に割り当てられた2桁の郡市区番号です。
都道府県番号2桁と郡市区番号2桁を活用すると、どこの都道府県でどこの地域の医療機関かを特定できます。
医療機関等番号(4桁)
医療機関等番号4桁は、全国の医療機関に割り振られた番号です。
この4桁のみでは、異なる都道府県で重複する番号がありますので、都道府県番号と郡市区番号を組み合わせることによって、医療機関を区別できます。
検証番号(1桁)
医療機関コードの最後の1桁は、検証番号、別名チェックデジットです。番号に誤りがないかどうかをチェックするために付けられた、エラーを検出する番号です。
医療機関コードの注意点
医療機関コードを扱う上で注意点があります。
医療機関コードは変動する
開設者の変更や医療機関の所在地が変更した等の場合は、地方厚生局への申請が必要です。その際、医療機関コードは変更され、新しいコードが付与される場合があります。
医療機関の事情により月途中で医療機関コードが変更となった場合、月内のレセプトを旧医療機関コードと新医療機関コードでそれぞれ個々に作成する必要があります。既に電子カルテに旧コードの入力が済んでいる場合は、1件ずつコードを変更する作業が必要になるケースもあるので、注意してください。
医療機関コードの活用方法2選
全国の保険医療機関情報が網羅された医療機関コードの活用方法を見ていきましょう。
取引先の医療機関を管理する
医薬品・医療機器メーカーや販売店では、取引先(納入先)の医療機関を管理する際に、医療機関コードが活用できます。医療機関コードは、医療機関を一意に特定できる上に、日本語名称で管理する場合と比べて入力コストがかかりません。
平仮名から漢字への変換ミスや文字数が多い名称の入力ミスなどのヒューマンエラーを軽減できるのも魅力です。また、管理している一覧を点数表や都道府県、郡市区で条件指定して、該当する医療機関や医療機関数を調べたい際にも活躍します。
医療機関の営業リストを作成する
医療機関をターゲットとしている企業では、営業先の医療機関をリスト化する際に、医療機関コードが活用できます。医療機関コードには点数表・都道府県・郡市区の情報が含まれているため、営業対象とする地域・点数表で絞り込めば、営業リストを容易に作成できます。
さらに、点数表・都道府県・郡市区ごとの医療機関数も把握できるため、営業対象とすべき地域・点数表の選定にも役立つでしょう。医療機関が密集している地域は、該当する点数表の医療需要が高いと予想できます。
医療機関コードが分かるフロッグウェルの医療機関マスタ
医療機関コードは、各地方厚生局のホームページで公開されている「コード内容別医療機関一覧表」に医療機関番号として「その一部が」記載されています。しかし、実際に使用するとなると、以下のような点で分析のしづらさを感じるでしょう。
- 全国のデータを集計する場合、各地方厚生局からデータを取得する
- Excelファイルに不要な空白セルが多く、フィルターをかけられない
- 医療機関番号に「都道府県番号」「点数表番号」「郡市区番号」が含まれていない
- 点数表ごとにファイルが分かれている
そのため、意図した分析をするためには、オープンデータの前処理が必要です。複数のファイルを結合したり、不要なセルを削除したりと多大な労力と時間を要します。
そこで弊社では、厚生労働省のオープンデータ「コード内容別医療機関一覧表」を分析しやすい形に加工し、「医療機関マスタ」として提供しています。
弊社の医療機関マスタは、以下のような特徴・利点があります。
- 全国の保険医療機関情報が1つのマスタデータにまとまっている
- データの取込が容易なファイル形式(CSV)
- 1つの医療機関データを、1行(1レコード)で記載
- 医療機関コードは10桁で、マスタ内で一意
- 点数表番号(医科/歯科/薬局)ごとにファイルをわけてご用意
医療機関マスタを活用することで、医療機関の分析が容易になり、経営戦略の立案に役立つことでしょう。
まとめ
医療機関コードは、保険医療機関・保険薬局の指定を受けた証として、地方厚生局から付与される10桁のコードです。医療機関を一意に特定できる医療機関コードがあることで、診療報酬に関する請求業務の効率改善に大きく貢献します。
医療機関コードとそれに紐づく情報の利用をご検討の方は、ぜひ弊社が提供する医療機関マスタをご活用ください。
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