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政府相互運用性フレームワーク(GIF)とは何か~オープンデータとの連携も解説

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デジタル庁は2022年に、政府相互運用性フレームワーク(Government Interoperability Framework、以下GIF)を公開しました。
同庁はGIFを「デジタル社会のための連携ルールや技術規格、ひな型をまとめたもの」と説明していますが、要するになんなのでしょうか。
そこでこの記事では、GIFとは何か、について解説します。
そしてGIFの有用性を説明するために、GIFとオープンデータとの連携についても紹介します。

単純化して説明すると「GIFは複数のシステムを連携させるもの」


GIFの理解を難しくしているのは、これまで存在しなかった概念だからでしょう。そこで「GIFの詳しい解説」の前に「GIFを単純化して説明」します。
GIFとは要するに、複数の情報システム(以下、単にシステム)を連携させるルールです。

なぜ複数のシステムを連携させる必要があるのか~そのほうが便利だから

GIFが複数のシステムを連携させるためのルールであるなら、そもそもなぜ複数のシステムを連携させる必要があるのか、という疑問が湧くと思います。
システムは事務処理やアプリの稼働、インターネット・サービスの運用などに必要なものですが、システムの多くは単独でつくられています。そのためAというシステムが保有するデータを別のBというシステムで使おうとしても、データの互換性がないため簡単に流用することはできません。
それでは不便なので、AシステムとBシステムを連携させる必要があります。

なぜGIFが必要なのか~連携が難しいから

複数のシステムを連携するのにGIFが必要になるのは、連携が難しいからです。

例えば顧客の氏名を、Aシステムでは「佐藤太郎」と入力し、Bシステムでは「Taro Sato」と入力していたとします。つまりAシステムは「漢字、苗字が先、名前が後、苗字と名前の間に空欄を入れない」というルールで氏名を入力し、Bシステムは「半角ローマ字、名前が先、苗字が後、名前と苗字の間に半角空欄を入れる」というルールで入力しているので、Aシステムの氏名データをそのままBシステムに移行させることはできません。

GIFを使わず複数のシステムを連携させる方法

GIFが登場する前から、さまざまな場所で複数のシステムを連携させていました。システム連携は「難しい」ものの、GIFを使わなくても「可能は可能」です。しかしGIFを使わない複数システムの連携はとても手間がかかります。

AシステムとBシステムを連携させるなら、Aシステムのデータ形式をBシステムのデータ形式に変更しなければなりません。
もしくは、AシステムとBシステムを連携させるためのデータ交換システムを新たにつくる必要があります。
このような、GIFを使わない方法は手間もコストも時間もかかり、しかも汎用性がありません。それでGIFが必要になったわけです。

GIFの詳しい解説


GIFとは、複数のシステムを連携させるもの、なのですが、ではその正体はなんなのでしょうか。それが冒頭で紹介したデジタル庁の定義であり、もう一度紹介するとGIFとは「システム連携ルールや技術規格、ひな型をまとめたもの」です。
GIFの正体は、ルール、規格、ひな型です。

政府がルールを設定した

デジタル庁は政府機関なので、デジタル庁がGIFを設定したということは、政府が1)システム連携のルールと、2)技術規格と、3)ひな型を設定した、ことになります。

政府がルールや規格を設定することは珍しいことではなく、例えば建築物や工業製品にはさまざまなルールや規格が存在し、それは政府や政府系機関などが設定したものです。
政府がルールや規格を設定することで、さまざまな企業が同じルールや同じ規格の下で生産や改善ができるようになります。これにより生産が効率化され生産性が向上します。
デジタル庁は、建築分野や工業製品分野で行われてきたことを、システム分野で行ったわけです。

例えば「GIFの氏名ルール」はこのようになっている

GIFでは例えば氏名のデータ構造を、1)苗字と名前を分離して、2)読み仮名を必須にする、というルールにしました。
仮にこの「GIFの氏名ルール」を、国内のすべてのシステム開発会社が採用すれば、自社が開発したシステムと他社が開発したシステムを連携させるとき、少なくとも氏名のデータはスムーズに移行できます。
もしくは古くなったシステムを新しいシステムに更新するときも、氏名データだけは簡単に移行させることができます。

対象は政府情報システムだが、地方自治体や民間での活用も想定

デジタル庁はGIFの利用対象を政府情報システムとしています。政府もさまざまなシステムを持っているので、まずはこれらをGIF化していこうとしています。
デジタル庁はさらに「地方公共団体やスマートシティでの活用など、社会活動全般で参照し活用することが可能」としています。
つまり、都道府県・市区町村がシステムをつくるときも、民間企業がスマートシティ用のシステムなどをつくるときも、ぜひGIF化してみてください、といっているわけです。

GIFとオープンデータとの関係、連携


続いてGIFとオープンデータの関係について解説します。
オープンデータとは、2次利用が可能な公共的なデータのことです。例えば政府や地方自治体などが集めている統計データは誰でも利用できるのでオープンデータです。

政府などは膨大な量のオープンデータを持っていて、そこにはビジネスの種が眠っているはずですが、データ量があまりに膨大なため必要なデータを掘り起こすことは容易なことではありません。
しかも、膨大なオープンデータは複数のシステムに保存されているため、データの掘り起こしはさらに難しくなっています。

それでGIFが活躍します。
政府情報システムや地方自治体のシステムや企業のシステムがGIF化されれば、複数のシステムの連携が容易になるので、オープンデータを容易に掘り起こしてビジネスなどに利活用できます。

デジタル庁が考えるGIFを推進させるためのステップ

デジタル庁はGIFを使ったオープンデータなどの活用方法として「GIF推進のステップ」を想定しています。
それは以下のとおり。

■ デジタル庁のGIF推進のステップ
ステップ1:見つけられること(オープン化カタログ整備)
ステップ2:使えること(データ品質の向上)
ステップ3:自動処理できること(連携ツール高度化)
ステップ4:AI(人工知能)などで解析できること(大量データ処理、エコシステムの実現)

ステップ1では、公開しているのに見つけられないデータを効率的に見つけられるようにする取り組みです。公開できるデータをオープンデータにしていって、なおかつ、求めるデータを容易に見つけられるようにカタログ情報や検索用メタデータを提供していきます。

ステップ2では、見つけたオープンデータを使えるようにします。データを使いやすくするために、オープンデータの構造化設計を進めます。それにはデータ項目やデータ形式をそろえたり、共通語彙基盤や文字情報基盤を整備したりします。

ステップ3では、使えるようになったオープンデータを自動処理していく過程です。オープンデータへのアクセス管理やデータ変換、転送管理などの仕組みを整備します。これによりオープンデータの活用を効率化できます。

ステップ4では、AIを使ってさらにオープンデータ活用の効率化を進めます。

ではこのステップ1~4の過程でGIFをどのように使うのか。
デジタル庁は「GIFは相互運用性を高めることを目的としていて、さらに拡張性の向上、設計コストや時間の削減、設計や運用の高度化、ワンスオンリー、ワンストップを実現する」としています。
GIFがオープンデータの有効活用のカギとなっていることがわかります。

まとめ~デジタル化推進の一助になる

記事の内容を箇条書きでまとめます。

  • GIFとはデジタル社会のための連携ルールや技術規格、ひな型をまとめたもの
  • GIFを単純化して説明すると、複数のシステムを連携させるためのルール
  • 複数のシステムを連携させることは手間がかかるが、GIF化されたシステムならそれが容易になる
  • GIFはオープンデータを有効活用するために必要である
  • 政府や専門家などは日本のIT化・デジタル化の遅れに危機感を持っていて、統一したルールがなかったこともその一因になっています。
    GIFはその課題を解決する一助になりそうです。

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