高齢化社会を見据えた高齢者セグメント
超高齢化と言われ久しい昨今。ウィキペディアの高齢化社会によると、日本の人口の65歳以上が2015年で40%超、2050年には67%を超えてくると書かれています。高齢化比率が高まるということは市場を形成する人間の割合が変わると読み替えることができます。高齢者を対象にしたビジネスは今後も高齢化社会を背景に広がりを見せていきますが、どのような目線で商品を考えていくことが重要なのでしょうか。
今後高齢者は大きく2つに分かれる
今後増え続ける高齢者。この高齢者は大きく2つのタイプに分けられると考えています。
- 特に健康な高齢者
- 特に健康ではない高齢者
単純明快ではありますが、この二つの分け方がより顕著になるのがこれからの社会ではないかと考えています。理由は簡単で死に直結する病気が減っていることが考えられます。
がんという病気を一つ例にとってみます。国立がん研究センターのがん情報サービスによれば、昔は死亡率の高かったがんは、1990年頃を境に急激に死亡率が低下していることがわかります。要因は医学の進歩であり、死に直結する病から遠ざかりつつあることが推測されます。ただしい医療を受けることができれば寿命を延ばすことができるだろうということも考えられます。
医療を受けるための格差
ただしい医療とはどういう事でしょうか。単に病院に定期的に行き受診をすることもそうですが、病気に対する先進医療を受けることができるかが大きなポイントになってきます。つまり一定レベル以上のリスクの高い病気に対抗するためには高額な医療を受ける必要があると言えます。今後、高齢者が増え、医療費の個人負担が増えることが容易に想像される中で、ただしい医療を受けるにはある程度の資金力が必要になってきます。
これまでの仮説を踏まえ、特に健康な高齢者は富裕層に固まってくるということが考えられます。こういった方々に向けた商品設計、特に健康食品サプリメントで考えるとどのようなものが考えられるでしょうか。あるレベルの医療や食生活を送っている方には、健康な状態を維持するための商品が考えられます。
一方で特に健康ではない高齢者(ここでは高額な医療が受けられないリスクを持つ方)には病気を回避するための商品提案、薬との共存が可能な商品が考えられます。こちらの方には生きるために必要な商品が考えられます。
同じ商品だとすればどのように提案が変わるか
2つの高齢者に同じ商品を提案するとしたときにどのような違いがあるでしょうか。高カロリー食品を例に考えていきます。
健康な高齢者群には、アクティブな羊羹の使い方、スポーツに組み合わせた栄養補給を考えることができます。登山やマラソンなどが健康な高齢者に人気ではありますが、その時に食べる羊羹の提案が考えられます。実際に商品となっているのが井村屋のスポーツようかんです。固形食糧よりも水分があるため登山でも口が乾かない、高齢者でも食べやすいといったメリットもあるようです。長生きするためのオプションに商品を考えた例と言えます。
一方、健康ではない方に必要な高カロリー商品という意味を読み替えて食事の代替、もっと振り切れば介護食品、流動食といったワードが考えられます。体の負担を考えて量を食べられない方、もしくは噛む、飲み込むことが難しい方向けの商品は、一つの着地点として考えられます。これまでの話から少し外れてしまいますが、井村屋の製品で、えいようかんがあります。これは生きるためのという意味で、非常食の利用を考えた商品です。
高齢者に向けてどのような商品を考えるか
アクティブな高齢者にむけては老後を充実させる体験に紐づけることが考えられます。スポーツを例にすれば道具(ウェア、靴など)、食事(水分や栄養の指導)、トレーニングのアドバイス(ゴルフで言うならコースに出る前のコーチ)、安全に行うことができる場所の提供(ジムや公園といったハードの整備)といったプロスポーツ選手のやっていることと同じメニューがそのまま当てはまりそうです。
特に食事面でのサポートは継続性が期待できるため市場としても安定感があります。筋力をつけるためのプロテイン系(高たんぱく商品)は必要となるでしょう。また運動時の水分補給に目を向ければ、単なる水ではミネラルが不足する反面、一般的なスポーツドリンクでは甘すぎる、高カロリーと敬遠する層に向けた中間の商品(経口補水液やスポーツ専用の麦茶など)も市場に出てきています。
逆に健康のために自由が奪われる、思うような生活ができない方には、自由を取り戻すための食品や道具、やりたいことが実現できる補助サービスといったことが考えられます。食品は薬や病気に対応する商品設計が求められるでしょう。さらに介護、介助に近い目線でサポートするサービスとの組み合わせが必要になりそうです。
今後より若年者と高齢者との人口差が広がり、一つのカテゴリで老若男女向けの商品を開発するのはより難しくなります。老若の切り口でセグメント分けをしながら商品を対応させつつ、よりアクティブな高齢者とそうでない高齢者で分けていくかことが一層必要になってくる時代になっていると言えるでしょう。
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